韓国では、今月12日に元徴用工問題解決のための公開討論会が開かれた(画像提供:wowkorea)
韓国では、今月12日に元徴用工問題解決のための公開討論会が開かれた(画像提供:wowkorea)
韓国で今月12日に開かれた元徴用工問題解決のための公開討論会は、おだやかな雰囲気で始まり怒号と抗議により締めくくられた。

韓国政府は、「第3者である “元徴用工支援財団”が韓国企業から受けた財源でもって元徴用工に弁済する」方案を発表し、「日本企業の参加と日本政府または企業の謝罪を求める元徴用工側の要求が抜けた」解決案に、聴衆席は動揺し始めた。

総合討論では4度にわたる官民協議会で話し合われた内容への説明もあり、問題点を指摘する元徴用工側の立場を強調する発言もあった。討論に集中していた聴衆は、「韓国政府による説得にも、日本からは誠意のある呼応がなかった」「いまや日本の謝罪と基金の参加について期待してはならない」というあるパネラーの発言を聞いて怒号と抗議を発し、雰囲気が過激になり始めた。結局、聴衆の発言はきちんと伝えられないまま討論は終わりを迎えた。

このような聴衆の反応は、討論会を主催した韓国国会と韓国外交部(外務省)だけでなく、これを注視していた日本側にも重いメッセージを投げかけた。これは、2018年の韓国大法院(最高裁)による最終判決、大法院が元徴用工に対する日本政府の賠償責任を初めて認めた2012年5月、元徴用工側により訴訟が提起された1997年からの20余年に積もった長年の感情が爆発したものだった。またこれは、大法院の勝訴判決を受けた15人の元徴用工だけの問題ではなく、1800人の生存している元徴用工たち、数十万人の元徴用工とその遺族たちの声でもある。20余年間、韓国政府の交渉と司法的判断を見守ってきた元徴用工側が感じている鬱憤(うっぷん)と不信である。

「1965年の請求権協定により賠償問題は解決した」という日本企業の立場と「韓国が解決案を持ってこい」と手を後ろに組んだ日本を相手に交渉しなければならない韓国政府は、それなりに努力を注いできた。現実的な方案を見出し難題を突破するための苦心の跡は明らかだが、それでも元徴用工側と国民が同意できるかは疑問である。

厳重な国際秩序の中、日米韓協力の重要性が強調され、韓国政府は「日韓関係改善」を対日外交の基調として掲げた。両国関係の最大懸案である元徴用工賠償問題に対する国民との共感の輪が形成されてもいない中「日本の輸出規制措置・日韓GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)問題など、他の懸案もすべて解決する」という韓国政府の主張は、むしろ元徴用工たちに「賠償問題が両国関係の障害になっている」という圧力をかけることになり得る。

一方日本は、韓国政府の解決法に対しさらにもう一歩進み「求償権の放棄」まで言及し、完全な免責を望んでいる。なぜ被害者である元徴用工側だけが、もどかしくならねばならないのか。今回の討論会が「民意の殿堂」である国会で開催されたことを、あらためて心に刻まなければならない。元徴用工のヤン・グムドク氏は17日「私が望んでいるのは日本の謝罪だ」とし「良心あるわが市民が一つになって、日本に負けずわが国を守っていこう」と訴えた。

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