<W解説>元徴用工問題、日本企業の韓国内資産の売却が迫る中、韓国・外交部が講じたアクションとは?

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2022/08/03 10:01配信
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韓国の外交部(外務省に相当)が先月30日までに、日韓最大の懸案である元徴用工問題の解決に向けた外交的努力を説明する意見書を韓国大法院(最高裁)に提出していたことが分かった。元徴用工問題をめぐっては、大法院の判決を受け、原告が差し押さえた日本企業の韓国内資産の売却(現金化)の手続きが進んでいる。売却について早ければ来月にも最終判断が示される可能性があり、意見書の提出で司法判断の先送りを狙ったものとみられている。

 聯合ニュースによると、外交部は、原告のヤン・グムドク氏とキム・ソンジュ氏への三菱重工の商標権や特許権の現金化について審理している大法院に対し、意見書を提出した。大法院が日本企業に賠償を命じた訴訟のうち、2氏への賠償に向けた現金化手続きが最も早く進んでいるとされている。

 意見書では「日韓の共通利益に合致する合理的な解決策」を探るために外交協議を進めているほか、問題の解決のために外交部が先月発足させた官民協議会を挙げ、「原告側や各界各層の意見を集めるなど、多角的な外交努力を続けている」と説明しているという。

 意見書には法的な拘束力はない。しかし、資産の現金化によって日韓関係がさらに悪化する事態を懸念している韓国政府としては、現金化の判断を先延ばしにできれば、その間に原告を交えた国内の意見集約や日本との外交協議を前進させられると考え、意見書の提出に踏み切ったものとみられる。

 一方、パク・チン(朴振)外相は1日の韓国国会の答弁で、先月訪日した際、1998年に発表された日韓共同宣言に明記された「痛切な反省と心からのおわび」の精神を継承するよう、日本側に提起したことを明らかにした。

 日韓共同宣言は韓国では「キム・デジュン(金大中)、小渕宣言」の名称で呼ばれる。1998年10月、訪日した金大統領が、小渕恵三首相(肩書はいずれも当時)と共に署名した。両国における緊密な友好協力関係を高い次元で発展させ、21世紀に向けた未来志向的な関係を構築することで認識を共有。その後の日韓交流の礎となり、宣言によってその後、経済や文化、人的交流は活性化した。

 日韓関係改善に意欲を見せるユン・ソギョル(尹錫悦)大統領もこの宣言を支持している。かつてSNSで「韓日関係を発展的な方向に導けるほぼすべての原則が盛り込まれている」とし、「この精神と趣旨を継承し、韓日関係を発展させれば、両国の未来は明るいはずだ」と投稿した。

 朴外相が日本側に日韓共同宣言に明記の「反省とおわび」の見解継承を提起したのも、日韓間で誠意を持って問題解決に努めているという印象を司法側に抱かせたいという思いがあってのことだったのかもしれない。また朴外相は先月27日、ソウルで外国メディア向けの会見で、元徴用工問題をめぐる問題について「日本側にも相応の誠意ある対応があってこそ解決できる」とも述べている。

 一方、意見書の提出は三権分立の問題をはらんでいる。裁判所の判断に関して行政が関与することになりかねない。

 また、尹政権が先月発足させた「官民協議会」はこれまでに2回の会合が開かれたが、2回目の会合には、三菱重工業を相手取った訴訟の原告である、前出のヤン・グムドク氏とキム・ソンジュ氏の支援団体「日帝強制動員市民の会」と弁護団が不参加を表明するなど、早くも足並みそろわぬ事態となっている。団体側は「当事者の立場を尊重し、加害者である三菱側の謝罪と賠償のほかに解決策はないということを改めて確認する」と強調した。

 今回の意見書提出についても原告の支援団体は強く反発。「日帝強制動員市民の会」などは2日、記者会見を開き「外交部が提出した意見書は事実上、現金化に対する大法院の決定の先送りを求めるものだ」と批判。意見書は被害者の権利の実現を妨害する行為であり、司法制度に対する挑戦だとし「もう一つの国家暴力だ」と怒りをあらわにした。

 一方、外交部は「公益に関する事案については国家機関の意見提出が可能だという点を勘案して意見書を提出した」とし、その趣旨については「外交努力の一環」と説明した。

 徴用工問題に関し、現金化は何としても避けなければいけないとの思いは日韓両政府で一致している。この一致点を起点に方策を探る必要があるだろう。


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