出版会社「民音社」(ミヌム社)は14日、2004年5月に「世界文学全集」の1編として初めて出版された「人間失格」の100刷突破を記念し、単行本として初出版されると発表した。
韓国の出版業界で「世界文学全集」として出版された旧刊が特別な宣伝をすることなく着実に売れ続け、100刷を記録したのは異例のことだ。今年2月に400作を突破した民音社の「世界文学全集」の中で100刷を突破した作品はJ・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」とヘルマン・ヘッセの「デミアン」、ジョージ・オーウェルの「動物農場」程度だ。
人間の内面の極端な破滅を取り扱った自伝的小説「人間失格」は、村上春樹が最も尊敬する作家である太宰治の代表作だ。1948年3月から5月にかけて、雑誌「展望」に連載された。太宰治は「人間失格」で論議と熱風を巻き起こしたまま、6月13日に玉川上水で自殺し、大きな衝撃を与えた。
「人間失格」は1936年に登壇して波乱万丈な人生を送った太宰治の自伝的な小説で、現在まで、夏目漱石の「こころ」とともに日本で最も多く販売された小説だ。太宰治は小説内で人間が結ぶ関係に対する根源的な恐怖と懐疑から抜け出せない純粋な若者の厳しい彷徨と堕落の過程を描いた。
この作品は太宰治特有の感覚的な文体、陰鬱(いんうつ)な虚無主義と自己破滅的な情緒で第2次世界大戦敗戦後、憂鬱(ゆううつ)と絶望に陥った日本の若者たちを魅了した。
民音社側によると、昨年初めから「人間失格」を買い求める読者が大幅に増えた。同名のドラマがその年の秋に放送されたが、放送前から本が売れ始め、その影響とは見難いという説明だ。
民音社関係者は「販売されてから70年が過ぎた今でも『人間失格』は世界の若者の間で読まれている」として、「現実の壁の前で挫折する不安定な青年たちに特に深い共感を呼び起こす」と伝えた。
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