韓国の人気ボーイズグループ「BTS(防弾少年団)」(画像提供:wowkorea)
韓国の人気ボーイズグループ「BTS(防弾少年団)」(画像提供:wowkorea)
韓国の人気ボーイズグループ「BTS(防弾少年団)」の兵役特例問題が、韓国の政界で再び取りざたされている。国会国防委員会の“国民の力”幹事を務めるソン・イルジョン議員は今月12日、韓国のラジオ番組に出演し「大衆文化芸術人も、兵役特例対象に含めるべきだ」と改めて強調した。ソン議員は昨年8月にも、このことに関する兵役法の改正案を発議している。与野党間における ”異見”もないことから「近いうちに兵役特例関連法が国会を通過する可能性は高い」とみられている。

BTS(防弾少年団) の最新ニュースまとめ

「世界的なポップ・アーティストへと成長したBTSが、韓国の地位を向上させている」ということを否定する韓国民は誰もいないだろう。しかし「兵役特例を与えること」は、これとは全く異なる問題である。何よりも20代の青年たちの「相対的剥奪(はくだつ)感」は非常に大きい。彼らにとっては「兵役の公正性と衡平性」の問題であることから、敏感にならざるを得ない。国会は2020年に「大衆文化芸術人も満30歳まで入隊を延期できる」兵役法改正案を可決している。これもやはり、BTSを念頭に置いた立法であったことは、すでに広く知られている事実だ。これに加え ”兵役特例法”まで可決されれば「BTSだけが引き続き特例を受けることになる」という青年たちの不満はより大きくなるおそれがある。公正性問題が生じる可能性があることから、この事案は特に慎重に扱われなければならない。

問題は「BTS当事者よりも、政府と政界がより積極的だ」ということにある。BTSはこれまで「メンバー全員、国家の呼びかけに応じる」とし “入隊”を繰り返し公言している。それでも、与野党に関係なく政界がこの事案に乗り出すのは「BTSの名声と人気を利用しようという意図」が多分にあるためだと思われる。

特に、青瓦台(韓国大統領府)と韓国政府が奔走している点がそうだと言える。ファン・ヒ(黄熙)文化体育観光相は与野党に直接電話をかけ「関連法を早く処理してほしい」と要請したという。「5月9日までのムン・ジェイン(文在寅)大統領の任期内に、BTS兵役特例法を可決しよう」という意図だということだ。文大統領は昨年9月の国連総会に出席した際、BTSが特使という立場で同行したため、「このことへの “お返し”という次元だ」という話もささやかれている。しかし兵役は「お返し」や「補償」の対象ではない。

それに加え、BTSの所属事務所が「速やかな結論」を要求し政界に圧力をかけることも適切ではない。BTSが入隊すれば、所属事務所は莫大な損失をこうむるしかない。事務所の立場としては、どんなことがあっても兵役特例へと導きたいだろうが、国家の国防義務より私企業の利益が優先され得ることはない。BTSもやはり堂々と入隊してこそ、このグループのメンバーたちの生命力をより強める道だということを忘れてはならない。この際、兵役特例全般への縮小調整を検討してみる必要がある。

Copyright(C) herald wowkorea.jp 96