防疫当局がオミクロン株を警戒する理由…「感染力2~3倍」=韓国報道(画像提供:wowkorea)
防疫当局がオミクロン株を警戒する理由…「感染力2~3倍」=韓国報道(画像提供:wowkorea)
新型コロナウィルスが初めて確認されてから2年が経ち、オミクロン株というさらなる危機が我々の前に迫っている。オミクロン株は2021年12月1日に韓国国内で感染事例が初めて確認されて以来、わずか50日でデルタ株から置き換わって優勢種になる見通しだ。デルタ株より感染力が2~3倍強いオミクロン株が勢力を拡大すれば、1日の感染者数が2万~3万人にまで増える可能性があり、防疫政策の転換が避けられない状況だ。高齢者など重症化率が高い層を中心にPCR検査と治療が行われ、4回目のワクチン接種も推進される。また無症状者・軽症者は在宅治療と抗原検査(自己診断キット)が拡大される予定だ。

中国湖北(こほく)省武漢(ぶかん)市に住む30代の女性Aさんは2020年1月19日午後12時11分、中国南方航空のCZ6079便に乗ってインチョン(仁川)空港に到着した。中国最大の祝日である春節の連休を迎え、韓国や日本などを旅行する予定だったAさんは、翌日の20日に新型コロナウィルスの感染が確認され、韓国初の感染者となった。以後、韓国では新型コロナウィルスの1日の感染者が同年2月29日に909人まで増え、第1次流行のピークに達した。しかし、検査・追跡・治療を徹底して行なう「K防疫」が効果を発揮し、同年5月には新規感染者数は10人程度にまで減少した。

新型コロナウィルスパンデミックの終息が近かったが、夏休みシーズンを迎えて全国的に移動量が増え、2020年8月、再び1日の感染者数が400人台まで増加した。韓国政府は再び徹底したソーシャルディスタンスで対応したが、季節の変わり目に流行が拡大し、同年12月には新規感染者数が1000人以上に増加した。これに対して政府は、「5人以上の私的な集まりの禁止」というより強硬な措置を取った。

2021年に入り、強力なソーシャルディスタンス効果と「ゲームチェンジャー」として期待を集めた新型コロナワクチン接種が本格的に始まり、上半期を通して感染拡大傾向は影を潜めていた。しかし下半期以降、デルタ株が韓国でも急速に拡大し、新規感染者数は9月に3000人台まで増えた。

韓国政府はワクチン接種者に対する優遇措置を大幅に増やし、ワクチン接種率を急ピッチで引き上げた。この結果、2回目のワクチン接種完了者は80%を超え、同年11月1日から「ウィズコロナ(段階的日常回復)」政策に転換し、ソーシャルディスタンスに代わって「防疫パス」も導入した。しかし12月1日、韓国国内初のオミクロン株の感染者が確認され、12月15日、新規感染者が7850人まで増え、政府はウィズコロナを中止し、18日から私的な会合は4人まで、営業時間は午後9時までという防疫強化策を選んだ。この措置はことしの1月16日まで4週間続き、17日から3週間、私的な集まりを6人にまで緩和したソーシャルディスタンスを施行し、オミクロン株対応を本格化した。

オミクロン株への対応戦略は重症化率が高い層を中心としたPCR検査・治療で、選択と集中がその核心だ。感染者が1日に2万~3万人まで増える可能性が高い状況で、従来のようなK防疫では医療対応能力を保全できないという判断からだ。

中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長は19日の記者会見で「重症化率がデルタ株より低い点を考慮し、きょうからオミクロン株の感染者の在宅治療を拡大して実施する」と述べ、「K防疫中心の体系から選択と集中を通した重症者・死亡者管理体系への転換は、7000人程度の新型コロナ患者を基準に行われる予定」と述べた。

中央防疫対策本部によると、19日午前0時時点の新規感染者は5805人で、先月30日(5034人)以降20日ぶりに5000人台となった。韓国政府はオミクロン株への置き換わりが急速に進んでいるとみている。

オミクロン株優勢化時の診断検査方式は、PCR検査中心から抗原検査に変更される。 PCR検査(無料検査)は高齢者層に集中し、優先順位を決めて行なう。また、病院・医院での抗原検査が本格的に施行される。無症状者や予防的検査も抗原検査に代替される。防疫パスもPCR検査のほか、抗原検査を病院や医院で受けると、24時間陰性証明として利用できる。

重症化率が高い層に対する4回目のワクチン接種計画も進められる。イスラエルなどでは4回目のワクチン接種間隔を3~5か月と設定しており、韓国国内でもこれらの国の事例をふまえることを検討している。

ファイザー社製の「パクスロビド」など経口治療薬は現在65歳以上の投薬対象を60歳以上または基礎疾患保有者などに段階的に拡大する。また隔離期間は既存の10日から7日に短縮される。感染者は7日目に隔離解除し、以後3日間防疫の遵守が勧告される。

ソン・ヨンレ班長は「旧正月の連休を含む3週間で80~90%はオミクロン株に置き換わる見込みで、感染者の増加は避けられない」とし、「今後は感染者よりも重症者と死者を最小化するよう対応体系を集中する」と強調した。
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