(画像提供:wowkorea)
(画像提供:wowkorea)
※約100年前の1919年3月1日、日本の半島統治に対する最大規模の独立運動が起きていた。日本では「万歳事件」と言われるこの「3・1運動」は韓国の憲法に登場するほどだ。しかし、その規模を表す死亡者数には未だに変動が起きている。日韓共通の歴史認識のため、韓国の知識人が寄稿した内容を紹介する。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領の2019年「3・1節100周年」の記念演説の中にはこのような部分が出てくる。「7500人余りの朝鮮人が殺害され、1万6000人余りが負傷しました」。

2020年の記念演説はこうだ。「7600人余りが死亡し、約1万6000人余りが負傷し、約4万6000人余りが逮捕・拘禁されました。世界的にも類例がない事でした」。

一年の間に死亡者が100人も増えた(7500→7600人)。3・1運動の死亡者数は朝鮮総督府の公式記録では553人だ。当時の公式記録と今日の大統領が言及した数値の間の差が14倍にもなる。朝鮮総督府が実際より大幅に縮小して集計したか、大統領が実際より大幅に誇張したか、二つの内の一つだ。

このような場合、客観的な第三者(第三国)が綿密に研究し、どちら側の主張が正しいか、判定を下してくれれば公平である。しかし事案の性格上、そのようなことは期待し難い。

ところが韓国政府「教育部(文部省に該当)」傘下の「国史編纂委員会」が当時の朝鮮人の死亡者の規模を正確に把握するために研究に着手して、2019年2月に「3・1運動による死亡者数は725〜934人」だという結論を下した。

一種の交通整理をしたわけだ。単数字まで特定したということから見て、客観的資料などを根拠としてそれなりに明らかにしたようだ。従って国史編纂委員会の結論は「ファクト」に近いものと認めるのに無理はなさそうである。中間値は「830人」だ(=(725人+934人)÷2)。

だとすれば朝鮮総督府が集計した「553人」は「830人」に比べ33%ほど縮小した数値となる。大統領が公式に言及した「7500人」または「7600人」の場合、「830人」に比べると900%に誇張した数値となる。誰が見ても、朝鮮総督府の集計が相対的にファクトに近い。

問題は政府傘下機関である国史編纂委員会が2019年2月に既に交通整理をしたにも関わらず、国家を代表する大統領が町中に流れる噂レベルの誇張された数値を依然として固執した点だ。大統領からしてファクトには関心がなく、このような形の誇張や扇動にのみ熱を上げているのだから、外交などの各分野が正常でないのも無理はない。

大統領は「世界的に類例がない事」だとも言及した。ところがこのセリフは正しいようだ。何故なら米国、英国、フランス、ドイツなどの西欧列強らの場合、抵抗する植民地の人々を極めて残忍にも「数十万人」程度は瞬き一つもせず大量虐殺したからだ。その歴史に比べれば、日本の対応は見方によっては(犠牲者の人数という点で)「世界的に類例が無い事」になりうるからだ。

東亜日報の2021年2月15日付けの「朝鮮人が福島の井戸に毒を…」という記事にはこのような部分が出て来る。

「1923年、日本の関東大震災の当時、『在日朝鮮人(または中国人)が暴徒に突然変わり、井戸に毒を入れ、放火・略奪を行い、日本人を襲撃している』という流言飛語が広がると同時に、日本の民間人が自警団を組織し、6000人余りに及ぶ在日朝鮮人を差別的に虐殺した」

記事は6000人余りが虐殺されたと断定したが、ファクトではない。町中には「3000人虐殺」、「朝鮮人および日本人の社会主義者6661人を虐殺」、更には「2万3000人を虐殺」したという風に流れる。

関東大震災関連の記事を書く際、韓国メディアは大部分が「6000人虐殺」説を信奉しているようだ。ところが、関東大震災時に殺害された朝鮮人の人数を、既に韓国政府が把握していた状態だという事実を知る人は多くないようだ。

1952年12月、第109回国務会議ではイ・スンマン(李承晩)大統領の指示で、内務部(部は省に該当)で全国的な調査を通じて「日本震災時被殺者名簿(日本の関東大震災時の被害者名簿)」というものを作成したのだが、この時に把握された朝鮮人被害者は「290人」だった。

そして2015年に国務総理傘下の「対日抗争期強制動員被害調査委員会」という所で、この290人に対する最終身元確認手続きを行ったのだが、この内の40人の身元が確認された。反日性向が非常に強かった李承晩大統領の時に把握した被害規模さえ「290人」水準であるのだから、今日問題として挙げられている「6000人」説などは反日次元で作られた誇張に過ぎないとの見方もある。加えて当時殺害された人の中には、朝鮮人だけでなく、中国人や日本人左翼らも存在しうる。

この他、「青山里戦闘」(※1920年10月、金佐鎮が指揮する武装系の朝鮮独立運動組織と日本軍が満州で交戦した事件)の戦果についても、韓国側は「日本軍3300人を殺傷」と主張しているのに対し、日本側は資料をもとに「日本軍11人戦死、24人負傷、敵(金佐鎮の組織)の戦死者130人、負傷者90人以上、逃亡者200人余り」と反駁する。日本軍の死傷者数において、9,000%以上の差が出るのだ(韓国の主張3300人に対し、日本の主張35人)。

鳴梁海戦(※1597年10月、朝鮮軍と豊臣秀吉の日本軍との海戦)の場合は更にひどい。韓国側は「倭(日本)軍の船31隻沈没、92隻大破、倭(日本)軍8000人余り戦死」と主張しているのに対し、日本側は資料をもとに「当時動員された日本の船は数十隻水準で、いくら多く見積もっても130隻未満で、先鋒に立っていた船の数隻が沈没し、数十人が戦死したのが被害の全てであり、制海権が朝鮮に傾いたケースは皆無」だと反駁する。

いくら相手を貶めたくても、ファクトに基づかない主張を広げるのは望ましくない。嘘は長続きしえないものだ。第三者(全世界)もいつかは「気付く日」が必ず来るだろう。根拠も無く「3・1運動で7500人虐殺」「関東大震災で6000人虐殺」などに言及したり報道したりした大統領やメディアは、そうなった時に感じる恥ずかしさに耐える準備はできているのか?

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

Copyrights(C)wowkorea.jp 6