(画像提供:wowkorea)
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2019年の日本による韓国向け半導体素材の輸出規制の後、フッ化水素などに対する国産化努力が展開され、それなりの成果を収めていると韓国のメディアはその都度報道する。

東亜日報は2021年6月9日の「三星、日本に依存していた半導体素材の国産化」と言う記事で「中堅企業と高純度塩化水素の開発、日本の輸出規制から2年経って成果(を収めた)」と報道した。三星(サムスン、SAMSUNG)が日本とドイツに全量依存していた半導体の中核素材「高純度塩化水素」(フッ化水素ではない)を中堅企業と提携して2年間開発をし、最近品質テストを完了して、今年の下半期頃に納品契約を結ぶことにしたというのだ。

産業界の現実を知らない人であれば、このようなニュースに「快挙」だと言い喜ぶのだろうが、実状を知ればこのような国産化と言うものが企業の立場からは「泣き泣き辛子を食べる」に違いないということを知ることとなる。

記事は国産化したという「高純度塩化水素」がどの程度の水準の高純度の製品なのか、具体的な数値(例えば、99.99999%)を示さなかった。従って当該素材が三星の汎用半導体製造工程にのみ投入可能な水準なのか、あるいは超精密半導体製造工程にまで投入可能な水準なのか、分からない。

加えて収率(歩留まり率)がどれくらいになるのかも出て来ない。収率とは生産した製品の内に占める良品(取引先に納品可能な製品)の比率だ。企業の収益率を左右する重要な尺度だ。例えば収率が60%であれば、当該中堅企業で生産した「高純度塩化水素」の内の良品比率が60%であり、残りの40%は不良品だという意味となる。

開発初期の製品は収率が良くないものとなるほかない。時間(歳月)が流れる内に、各種の試行錯誤と経験が蓄積されて初めて、収率は少しずつ改善されるのが普通だ。記事にはこのような現実を反映した三星関係者のコメントが出て来る。

「主要素材の単一国家への依存度を低くして供給先を多角化したところに意味がある」

具体的な品質水準(99.99999%等)や、収率についてのコメントが全然無い。現在のところ、「供給先の多角化の意味」以外には期待するものが無いという意味となる。恐らく三星は塩化水素の国産化を担当した中堅企業に少なくない設備投資の費用まで負担したのだろう。加えて収率が一定の水準に高くなる時まで、当分の間は低い収率による「高い納品単価」まで抱え込まざるを得ない状況なのだ。

記事によれば、当該素材はもう最後のテストが終わった段階だ。ところで実際に当該素材が半導体工程に本格的に投入される状況では、どのような変数が生じるか誰も分からない。実験室のレベルでは合格しても、実際のラインでは不適合判定が下されて消えて行く製品は数え切れないくらい多い。

世界の優秀な企業と競争しなければならない三星の立場で、このような状況は負担となるほかない。外国の半導体企業が日本から高品質の素材を購入して製品を作るのに比べ、相対的に単価が高くて不確実性も存在する国産素材を開発して使わねばならないのが三星の状況だと見ればよい。

韓国の大企業や中堅企業が、日本が作る各種素材をそもそも作れず、これまでの間、国産化の試みをしなかったのではない。昼夜問わずに没頭すれば、今回のケース(「高純度塩化水素」)のように、いつかは作れるだろう。であれば過去にどうして日本が作る各種素材を頑張って国産化しようと没頭しなかったのか?本当に技術力が不足して作れないケースもあっただろうが、それは主に経済性(効率性)を考慮した選択だからだ。

良い肉をとても安く売る有名な精肉店があるので、皆がそこで肉を買って食べているのだが、ある人がその精肉店の主人と喧嘩(けんか)した。怒った精肉店の主人が「お前には売らない」と宣言した。するとその人は精肉店の主人と和解するよりはと、自分の家族に向かって「精肉店の肉を買って食べないで、直接、牛を育てて食べよう」と言い、牛舎を設置して子牛を買って来て、飼料を購入してきた家族が牛を飼うのに一生懸命没頭した。

米国や欧州の先端企業が「バカ」だから各種素材や装備、部品を日本から購入して使っているのではない。良い肉を安く買って食べられる状況で、敢えて牛を直接飼う理由がないからだ。結局、韓国が見せてくれた光景(国産化への執着)は国際分業の効率性に反旗を翻す「愚行」に当たるのだと見える。このような「愚行」が続けば、その終着駅の姿は遠くから探すまでもない。「自力更生」を叫んで、ほぼ自給自足に依存する今日の北朝鮮の姿がまさにそれだ。

今回、国産化したという「高純度塩化水素」は現在のところ、日本の輸出規制品目でない。そのくらい三星など、韓国の多くの企業が万が一の事態を想定して、心を痛めて気をもんでいる最中だという話だ。

言い換えれば、「更なる徴用賠償判決」「韓国国内の日本資産の現金化」など、視野に入って来たホットイシューによって、二回目、三回目の輸出規制が予想される状況で、「泣き泣き辛子(からし)を食べる」であり、藁(国産化)でもつかまねばならない状況に陥ったのだ。

このように韓国企業の経営活動に大きな支障を招き、国益に莫大な害を及ぼす韓国の反日は既に精神病のレベルに到達した。愚かな反日に執着して「愚行」を続けるより、速やかに相手と和解することが真の国益の為の道だ。

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

※※「泣き泣き辛子を食べる」とは泣きながらも嫌なことを無理やり仕方なくすることを比喩的に語る韓国のことわざ。
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