福島原発の汚染水浄化の糸口…水素同位元素の機構を究明(画像提供:wowkorea)
福島原発の汚染水浄化の糸口…水素同位元素の機構を究明(画像提供:wowkorea)

 事故原発の汚染水にはさまざまな核種が存在する。大部分の核種は除染処理が可能だ。さまざな放射性三重水素の分離・抽出技術も開発されたが、経済性が低く、福島原発の汚染水のような大量の汚染水の処理に活用することが難しかった。

 韓国・科学技術情報通信部は6日、慶尚国立大学のオ・ヒョンチョル教授、ミュンヘン工科大学のパク・ジテ博士の共同研究チームが柔軟な多孔性素材から現れる水素同位元素の拡散速度の差が高温度でさらに大きくなる現象を究明したと発表した。

 これまでは同じ元素だが中性子がより多く、重い同位元素が多孔性物質の中の狭い空間を軽い同位元素よりも早く拡散する性質を利用してまるでふるいにかけるかのような同位元素を分離するための研究が行われてきた。しかし、氷点下254度にもなる極低温でのみ拡散速度の差が発生し、高価な液体ヘリウムを使用しなければならなかった。

 だが、今回の共同研究チームが提案した柔軟な構造の多孔性素材では、液体ヘリウムより高い氷点下196度の液体窒素温度で水素と重水素の拡散速度の差が3倍以上あらわれた。

 その理由は金属と有機物からなる多孔性素材の構造的柔軟性と同位元素に対して選択的に反応するからだ。水素と重水素が気孔の中に入ると構造が拡張し、その後重水素によって柔軟構造が反応してさらに拡張される。この時、余分の空間が重水素にのみ確保され、移動速度がさらに速くなる。

 このような拡散速度の差は水素同位元素の吸収量が多くなるほど、温度が高くなるほど急増することが分かった。

 研究は濃度の高い重水素気体分離の可能性を検証したもので、福島原発の汚染水のように濃度の低い三重水素の液体を分離するためには追加検証が必要だ。

 オ・ヒョンチョル教授は「福島原発で使われた冷却水には放射性三重水素が含まれているが、現在までに開発してきた汚染水内の三重水素処理技術は経済性が低く、日本は汚染水を薄めて海へ放流を計画している」とし、「今回の研究は実用的な水素同位元素の分離技術を開発するきっかけになるだろう」と述べた。

 研究結果は新素材分野の国際学術誌「Advanced Materials」に7日0時に掲載された。

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