<W解説>韓国、今度は「産経新聞事件」関連の裁判官弾劾=三権分立や法治主義の真髄なのか

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2021/01/31 12:08配信
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=韓国はなぜ、この時期?与党議員の「裁判官弾劾」発議

 韓国の執権与党「共に民主党」が、28日、自党の国会議員イ・タニ(李誕熙)を代表として、左派・革新系国会議員の111人が署名した「イム・ソングン釜山高等裁判所裁判官の弾劾案」の発議を許可した。

 異例の裁判官に対する弾劾である。その事由は、日本でも有名な「産経新聞支局長名誉毀損起訴事件」に、当裁判官が介入した疑いがあるということである。

 韓国の国会議員は、裁判官に対する弾劾議決が可能であり(大韓民国憲法65条)、制度自体は三権分立の下、立法府が司法府をけん制するために必要不可欠な制度と言える。

 しかし、イム裁判官は、例の事件により1年以上係争中であり、判決が確定されているわけではない。ましては、第1審では無罪を言い渡されている。そのような状況下での弾劾案の発議は、刑事法の大原則「無罪推定の原則」を侵害する恐れがある。

 この発議には、実はその「発議の時期」に関し、「政治的な意図」を感じざるを得ない。それは、約2か月後に差し迫った、ソウル市長・釜山市長等の補欠選挙に影響を与えるための発議ではないか、ということである。

 発議の代表者が明かした発議時期に関する説明は、イム裁判官の退任が2月であり、彼を「不名誉退任」させることで、彼の今後の活動に制約をかける意図、ということである。

 しかし、上記の通りイム裁判官の事件はすでに1年以上係争中であり、不名誉退任させたいならば、より早めに動けたはずである。それでは、なぜ「この時期」の発議だろうか。その原因は、与党支持者からの、最近の裁判官・裁判所に対する根強い「憎しみ」、と読み取ることができよう。

 ここ最近、与党の支持者にとって、裁判所は「憎」の対象、それ以上でも以下でもない。与党の有力政治家であり、左派大統領の司書室出身のキム・ギョンス(金慶洙)氏や日本でも「タマネギ男」として知られるチョ・グク(曹国)氏の家族に対する不利な判決が下された。

 逆に、与党に対する厳正なる捜査で有名な検察総長ユン・ソギョル(尹錫悦)氏に対する有利な決定まで、与党支持者にとって最近の裁判所は、自分たちに有利な判決を下さない「積弊」に過ぎないのである。

 そのため、「この時期」での裁判官弾劾は、その激怒する支持者たちに贈る強力なメッセージになり得る。「私たちは裁判官を罰せます。それを通して裁判所をけん制・改革できます。なので、首都ソウル市を含めた補欠選挙で私たちを強く支持し、裁判所を行政面でも圧迫させて下さい」という、支持者を結集させる効果を持つのである。時期の問題は「偶然に過ぎない」という説明が出てくるかもしれないが、偶然と言うには、タイミングが絶妙過ぎる。

 それでは、仮にこの弾劾案の発議が政治的な行動であるとして、その利益を受ける人は誰になるだろうか。それは、直接的には補欠選挙に出馬する与党系の候補になるだろう。

 そして、もう一人、大きな反射的利益を得ると予想される人がいる。それは、次期大統領選挙の有力候補イ・ナギョン(李洛淵)与党代表である。今回の補欠選挙は、首都・ソウル市長選を含む重要な選挙であり、来年3月に予定されている大統領選挙の前哨戦としての性格も併せ持つ。

 そのため、イ・ナギョン代表にとって、今回の補欠選挙で党代表として勝利を収めることは、次期大統領選挙の候補として強い印象を残すことができるという重要な意味を持つ。それが、イ・ナギョン代表が「党論ではない」と線引きをしつつも、発議自体を承認した理由ではないだろうか。

 韓国の憲法が国会議員の裁判官弾劾を認めた立法趣旨は、上記の通り立法府による司法府へのけん制である。果たして、「よりによってこの時期」に行われる裁判官の弾劾案発議は、その立法趣旨に沿ったものであるだろうか。

 法治国家であるはずの韓国で弾劾が続いている。弾劾は本来ならば三権分立や法治主義の真髄かもしれない。しかし、これは法の「存在」の問題ではなく、法の運用に対する「意識」の問題のようだ。

最終更新:2021/03/04  22:23


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