済州島を知っている日本人ならば、ゴルフ場と韓流ドラマのロケ地が思い浮かぶでしょう。今回は、日本人にあまり知られていない済州島のオルレを紹介したいと思います。(写真提供:ロコレ)
済州島を知っている日本人ならば、ゴルフ場と韓流ドラマのロケ地が思い浮かぶでしょう。今回は、日本人にあまり知られていない済州島のオルレを紹介したいと思います。(写真提供:ロコレ)
■「オルレ」を守りたい

 みなさん、済州島(チェジュド)のオルレをご存じですか。

 済州島を知っている日本人ならば、ゴルフ場と韓流ドラマのロケ地が思い浮かぶでしょう。今回は、日本人にあまり知られていない済州島のオルレを紹介したいと思います。

 まず、オルレという言葉の意味を説明すると、家の門から大通りへと続く、曲がりくねった小さな路地のことです。

 もともと済州島の方言なのですが、最近は島にあるトレッキングコースを通称オルレと呼ぶようになりました。

 森林コース、海辺コース、民家コースなど、美しい自然環境を清々しく味わえるトレッキングの道です。

 このオルレを誕生させたのは、済州島出身のジャーナリストの徐明淑(ソ・ミョンスク)さんという女性です。

 2006年、ジャーナリストとして第一線で活躍する彼女は心身ともに疲れ果ててしまい、心の休息と新しい人生の目標を求めて旅をしました。その旅先がスペインのサティアゴ巡礼道でした。そして、旅の終盤に出会ったイギリスの女性とある約束をしました。それは、「自国に帰ったら巡礼の道で享受した平和と幸せを他人と分かち合う」というものでした。


■1コースあたり15キロ以内

 2007年、故郷の済州島に帰ってきた彼女は、約束の道を探し始めました。隠れ道を探し、切れた道をつなぎ、長年放置されて消えていた道を生き返らせ、ない道は作りました。それが今のオルレです。

 その長さはなんと350キロ以上もあります。そのオルレに番号をつけ、現在は1コースから18コースまであります。

 1コースあたり15キロ以内で、歩けば平均5時間~6時間。全コースを完歩しようとすれば15日くらいは必要でしょうか。ポイントだけ選んでトレッキングしてもよいでしょう。

 日本人には言葉の問題があるので会話の通じるホテルを決めておいてコースを回るのもおススメです。世の中で溜まったストレスや悩みを忘れてリフレッシュするには、オルレのトレッキングが最高です。

 実は、私が生まれ育った故郷がその一部に位置しています。江汀(カンジョン)という町です。今は海軍基地建設で天恵の自然環境が破壊されそうになっています。

 地元の人々が激しい反対運動を繰り広げましたが、結局は建設されることになってしまいました。

 そもそも、海軍基地の必要性がはっきりしません。すでに4か所もある海軍基地で十分足りるはずです。民主主義の韓国が、住民の理解も得ずに工事を押し切ったことに呆れます。


■戦争は絶対にNO!

 地元のみんなが恐れているのは、海軍基地が完成すればアメリカの海軍が入り、中国を牽制することになりそうだからです。牽制は挑発につながり、ひいては局地的な戦闘が起こらないともかぎりません。

 そうすると、済州島は一番早く攻撃の的になるかもしれません。戦争が起きなくても、基地があるだけで固有の町の雰囲気は徐々に消滅し、いつしか軍人があふれる街に変貌してしまいます。

 地元の人も、経済効果なんてほしくない、と言っています。

 そもそも、軍事基地で稼いだお金はお断りだそうです。お金が不要なのではなく、住民は平和に暮らしたいのです。

 そんな住民の意思を無視すれば、平和が踏みにじられ、海辺はコンクリートで埋もれてしまいます。

 あのユネスコが生物保存地帯として指定してくれたところなのに、済州道知事は一体何を考えているのかわかりません。

 人間は自分たちが作り上げた文明をうまく制御できず、その失敗が大きなパニックを巻き起こし、目に見えない別の意味の戦いが到来してきます。それでも、平和・人権・自然を破壊する戦争は、絶対にやめなければなりません。


文=スヨン
(ロコレ提供)

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