朝鮮中央テレビが公開した金正恩国務委員長と娘(画像提供:wowkorea)
朝鮮中央テレビが公開した金正恩国務委員長と娘(画像提供:wowkorea)
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)国務委員長が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射の現場に幼い娘を帯同した背景をめぐり、解釈が分かれている。朝鮮中央通信は18日、金委員長とリ・ソルジュ(李雪主)夫人と娘がICBMの発射現場を参観したと報道した。北朝鮮で最高指導者の子供を公開し、ひいては娘を教育・文化の分野ではなく軍事分野に同行させたという事実は極めて異例だ。

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メディアは金委員長が「共和国の核武力強化において重大な道しるべになる歴史的な重要戦略兵器の試験発射場に愛する娘と夫人と共に出向き、試験発射の全過程を直接指導した」とし、彼が娘と共にICBMの発射を参観する写真を公開した。写真に写った金委員長の娘は白い上着を着ており、一目で金総書記夫妻にそっくりだと分かる。

情報当局やマスコミの報道によると、李夫人は2010年と2013年、2017年に子供を出産している。一番目が息子、二番目が今回公開された娘キム・ジュエと推定されている。米プロバスケットボール(NBA)スター出身のデニス・ロッドマン氏が2013年に北朝鮮を訪問し、「私は彼ら(金委員長夫妻)の赤ちゃんであるジュエを抱き、夫人のミセス・リーとも対話を交わした。彼(金委員長)は娘にとって良い父親であり、美しい家族だった」と語り、子供の存在と名前が初めて確認された。

専門家たちは、娘を公開した背景にはICBMの発射成功に対する自信と成果を強調しようとする意図があったものと分析している。朝鮮半島をめぐる緊張が高まる中で、最高指導者の一家が国力強化のためにあらゆるエネルギーを注いでいることを示しているというものだ。

キョンナム(慶南)大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「金委員長の家族の試験発射現場への参加が、ICBM開発および運用に参加する国防科学者や軍人に対する士気高揚と激励に役立つと判断したようだ」と述べた。英ガーディアン紙は米国のシンクタンクであるスティムソンセンターの北朝鮮専門家マイケル・マッデン客員研究員の言葉を引用して「非常に重要な場面」とし、「娘をあのような形で公開したのは金委員長としては特定水準の平穏さがあるという点を示したもの」と述べた。

一部ではこの日に公開された娘が今後権力の中心に出る可能性がある点についても提起されている。今回ICBMの発射現場に現れた娘が今後、北朝鮮の核およびミサイル開発に投入される可能性があるということだ。すでに金委員長の妹であるキム・ヨジョン(金与正)副部長が党の中心として国政全般に関与しているという事実が、このような見方に説得力を与えている。

ただし、娘が金委員長の後継者になれるのかについては意見が分かれている。セジョン(世宗)研究所のチョン・ソンジャン北朝鮮研究センター長は「キム・ジョンイル(金正日)総書記が長男や次男を差し置いて自分と性格が最も似ている三男の正恩氏を非常に早い時期に後継者に選んだように、金委員長も自分に最も似ている娘を後継者として念頭に置いている可能性がある」と述べ、「今後、金委員長が重要な現地指導に娘を頻繁に帯同するかどうかに注目しなければならない」と言及した。

一方、北朝鮮大学院大学のヤン・ムジン教授は、北朝鮮の歴代最高指導者は皆男性だったという事実を想起させた。続いて「金委員長は権力は親子でさえ共有できないということをよく知っているため、後継者の早期登板を望まないだろう」と述べ、「娘を公開したことは(娘が)後継者ではないことを逆に証明している」と主張した。

金委員長の場合も、金正日総書記が死去(2011年12月)する1年前の2010年9月になってようやく北朝鮮メディアを通じて初めてその姿が公開された。最高指導者が絶対的権力を持つ北朝鮮体制の特性上、子供に関する情報を公開する場合、拉致や暗殺の脅威にさらされる可能性があり、権力構造が確立されていない状態ではややもすると体制の混乱を招く恐れがあるためだ。その他にも2012年の金委員長の執権以降、李夫人を隠すことなく公開したように、子供をも公開することで「正常国家」であることを誇示しようとしているとの解釈や、意図された演出というよりは即興的な決定だという解釈なども出ている。
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