<W解説>半導体同盟「チップ4」をめぐり、米国と中国の間で板挟み状態の韓国(画像提供:wowkorea)
<W解説>半導体同盟「チップ4」をめぐり、米国と中国の間で板挟み状態の韓国(画像提供:wowkorea)
米国主導の半導体同盟「チップ4」に参加するか否かをめぐり、韓国が揺れている。「チップ4」は、中国をけん制する側面もあり、韓国は技術は米国、市場は中国に依存しているため、難しい判断を迫られている。

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 「チップ4」は米国政府が提案したサプライチェーンネットワーク。米国は韓国のほか、台湾、日本にも参加を促している。半導体の設計に強い米国と設備・素材に強みを持つ日本、高い生産能力を持つ韓国と台湾が半導体における協力関係を強化し、安定したサプライチェーンを確保することが狙いだ。一方で、半導体分野で急速な追い上げを見せる中国を排除する性格も併せ持つため、中国は韓国が「チップ4」への参加を検討していることをけん制している。

 中国のケイ・カイメイ駐韓大使は7月25日、韓国の与党「国民の力」の半導体産業競争力強化特別委員会のヤン・ヒョンジャ委員長と面会。「中国は公平かつ公正な市場の原則を堅持し、外部の干渉を排除する。半導体などの分野での協力を強化し、グローバルサプライチェーンを守る上で韓国と協力する」と語った。ケイ大使はこの日、産業通商資源部(部は省に相当)のアン・ドックン通商交渉本部長とも面会し、両国間の経済・貿易関係の発展や実質的な協力に関して意見を交わした。こうしたケイ大使の動きは、「チップ4」に韓国が参加しないよう促すねらいがあるとみられている。

 また、中国外交部の趙立堅報道官は7月26日、「中国は人為的に国際貿易規則を破壊して世界市場を二分することに反対する」と述べた。さらに趙報道官は「昨年、中韓貿易は前年より26.9%増加して3623億ドル(約49兆円)に達した。これは韓米、韓日、韓・欧州貿易の合計を上回る」とし、中韓貿易の重要性を強調。「チップ4」への参加を検討している韓国の動きをけん制した。

 韓国の昨年の半導体輸出の60%は中国市場向けだった。また、中国国内には韓国企業の半導体工場が多数ある。仮に、韓国が「チップ4」に参加した場合、中国による輸入規制や企業に対する制裁などの措置が取られる可能性が指摘されている。

 一方、韓国外交部(外務省に相当)の当局者は7月25日、「チップ4」をめぐり、米国が韓国に参加を要請したとの一部報道に対し、「加入提案というには無理がある」と指摘。「チップ4」に関する協議プロセスの報道に、韓国政府がかなり神経質になっていることをうかがわせた。また、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は7月21日、供給網問題をめぐる中国との摩擦を懸念し、中国が誤解しないよう事前によく説明し、誤解の余地があればそれを説いていくための積極的な外交をするよう外交部に指示した。

 中国から暗に「チップ4」不参加を迫られている韓国は、半導体の設備面で米国の依存度が強く、米国の技術と設備なく半導体の生産をすることは不可能であるだけに、米主導の「チップ4」への参加は不可欠だ。産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は韓国紙・ハンギョレ新聞の取材に「『チップ4』に参加しなかった国は、最悪の場合、半導体生産が不可能になる可能性もある」と語った。また、韓国半導体ディスプレー技術学会のパク・ジェグン会長は「『チップ4』に加入しなければ、米国と日本の半導体設備や部品、材料などの供給を受けられない。(韓国の半導体製造大手)サムスンやSKの中国工場も設備がなければ生産できない」と指摘した。

 一方、米国主導の「脱中国同盟」に取り込まれることへの懸念も出ている。SKグループのチェ・テウォン会長は「中国は良くも悪くもかなり大きな市場であるだけに、あきらめるというのは選択肢にない。引き続き、できる限り経済的に協力し、発展を遂げていくことが必要だ」と語った。また、科学技術情報通信部のイ・ジョンホ長官は「『チップ4』への参加可否は、国家利益に合致する方向で決めなければならない。今は半導体に限定された話だが、問題が発生すれば他の産業にも影響を与えかねないため、慎重になる必要がある。どのような面で韓国の役に立つのかを冷静に見極めなければならない」と述べた。

 米政府は韓国に対し、「チップ4」に参加するか否かを8月末までに通知するよう求めている。


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