物価上昇の長期化を懸念…米の金利引き上げに端を発した危機、対応を強化すべき=韓国報道(画像提供:wowkorea)
物価上昇の長期化を懸念…米の金利引き上げに端を発した危機、対応を強化すべき=韓国報道(画像提供:wowkorea)
8日、韓国金融研究院の主催で開かれたセミナーで、多くの参加者たちはウクライナ戦争の長期化と、これによる物価上昇の長期化を懸念している。その結果、米国の政策金利の引き上げが加速化し、景気低迷に金融市場が大きく揺れるだろうと分析している。米韓の通貨スワップの再開など、対応策を講じるべきだと主張している。

この日の討論者として参加したハイ投資証券のパク・サンヒョン常務は「金融市場は景気低迷を超えてクレジットイベントが発生するかに注目している」と述べ、「ウクライナ戦争が長期化すれば、連邦準備制度(Fed)による金利引き上げが年末のみならず来年まで続く可能性があり、安全資産への避難や信用危機などが起こる可能性がある」と明らかにした。

欧州連合(EU)では、12月からロシア産原油の輸入を中止することを決定したが、欧州のエネルギー調達の困難により国際原油価格が1バレル=150ドルに高騰した場合を前提にしたものだ。

パク常務は「全世界的に見れば、信用危機への懸念が根底にある」と述べ、「中長期的に見た時、物価安定に向けて進むかは疑問で、むしろ中金利・中物価時代を迎える可能性もある」と語った。特に「ウクライナ情勢が冬までに解決されなければ、金利上昇とは別のショックを受ける恐れがある」として「エネルギー価格の不安定を解消すべき」と説明した。

クンミン(国民)大学国際通商学科のソン・チヨン教授もウクライナ戦争の長期化を懸念している。彼は「ロシアに対する金融制裁が強化されているが、ロシアはインド、中国などにエネルギーを輸出しており、経済的に堅固だ」と述べ、「ルーブルの相場は今年に入って上昇しており、輸出も好調だ」と語った。ロシアへの制裁が功を奏さず、ウクライナ情勢が短期的に解決されないなか、中国が部品や素材を安い価格で確保するために、サプライチェーンの混乱を政治的に利用する可能性も提起した。

中央銀行がインフレを長期間放置する可能性も低いと見通している。つまり、今後も金利引き上げが続くものと予測している。ソン教授は「国際通貨基金(IMF)の資料によれば、経済協力開発機構(OECD)加盟国家の中で2000年代初め以降、4%以上の物価上昇率を3年以上持続した国はない」とし、「中央銀行がインフレに非常に強力に対応し、金利を引き上げるだろう」と述べた。

また「金利を引き上げる過程で景気低迷を懸念して政府が財政拡大政策を止めずにいる」と述べ、「これに反応しドル高が進行しているが、これに対し米国のインフレが全世界に波及し、再び米国に影響を及ぼしインフレが長期化する恐れがある」と説明した。

ウォン相場の回復にも時間がかかると予測している。ソン教授は「外国為替市場の圧力指数が6月に入って2011年9月のヨーロッパ財政危機当時の水準に近づいている」と述べ、「ウォンの価値が回復するのに時間がかかるとみている」と明らかにした。続けて「韓国は短期外債や外貨流動性のコントロールを行ってきたが、潜在的な危険性はある」とし、「家計融資の不良債権化や経常収支の赤字などが続出した場合、韓国経済の信頼が下がり、資本流出により外国為替市場が不安定になりかねない」と付け加えた。

韓国銀行国際局のリュ・ヒョンジュ国際金融研究チーム長は「今後CDS(信用不渡りスワップ)プレミアムなどの金融指標などを注意して見る必要があり、一方的に値上がりする為替レートなどを韓国経済の不安材料として拡大して見る必要があるかどうかについては改めて考える必要がある」と述べ、「経常収支の黒字をどの程度維持するかが重要だ」と明らかにした。

パク常務は「韓国銀行が金利を上げて備えたように、資本の梗塞(こうそく)などに備えた対応策を準備する必要がある」と明らかにした。

ソン教授は「危機が訪れても、簡単に為替市場への介入をしてはならない。為替市場の安定化のために最も必要なのは米国との通貨スワップ」と述べ、「インフレ抑制のためには政府が(韓国銀行に)金利引き下げを要請すべきではなく、厳格な財政準則を遵守しなければならない」と説明した。続けて「金利が高くなって危険度が高まった場合には銀行が貸倒引当金を積んで、これに耐えられるようにすべき」と述べた。また「韓国政府が価格統制をせず、規制を緩和し競争を通じて価格が下がるように誘導しなければならない」と付け加えた。

一方、連邦準備制度の金利引き上げ基調が早期に終了する可能性もあるという意見も出た。メリッツ証券のユン・ヨサム研究員は「ニューヨーク連邦準備銀行の報告書によると、米国の実質自然利率は0.9%程度」とし、「物価目標値を勘案すると、米国が耐えられる金利は2%後半、3%未満」と述べた。続けて「過去2週間の景気低迷などを懸念して米国2年物、10年物国債金利が2.8%まで下落した」とし、「債券市場では連邦準備制度が再び景気と物価のバランスを考慮して金利を決定するだろうという期待が出ている」と説明した。
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