(画像提供:wowkorea)
(画像提供:wowkorea)
韓国の農林畜産食品部(農林水産省に相当)は先月30日、イチゴ専用の航空機を拡大運行すると発表した。新型コロナウイルスの影響で打撃を受けているイチゴ農家と企業を支援するためという。

苺(いちご)輸出のピークとなる今月1日から5か月間、最大の輸出先である香港には毎日2便、シンガポールには週5回運行する。イチゴは鮮度維持のため輸出量の95%以上を航空で輸送しているが、イチゴ輸出のシーズンには積載空間不足が課題となっていた。イチゴ専用の航空機は昨年、シンガポール路線を用意したが、今年は香港路線を新たに追加した。

韓国政府はその他、専用航空機を利用する輸出会社に対して輸送費の7%の支援を行う。

韓国政府がイチゴの輸出に対して、これだけ手厚い支援を行うのは、コロナ対策のためだけではない。韓国のイチゴが世界で支持を得て、イチゴの輸出大国となっているからだ。昨年、韓国におけるイチゴの輸出額は5379万ドル(約60億6660万円)で2015年(3303万ドル)に比べ、5年で2倍近く増加した。

輸出先は1位が香港で、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシアと続く。香港は全体輸出量の3割以上を占めている。そのほか米国やニュージーランド、カナダなど20以上の国や地域に輸出されている。特に東南アジアでは高い人気を得ており、ベトナム市場では、韓国産イチゴが占める割合が70%を超えている。

かつて韓国でイチゴ栽培と言えば、2000年代の初期までは日本から無断で持ち込まれるなどした日本品種「レッドパール」と「あきひめ(章姫)」の栽培が盛んだった。韓国が日本品種のいちごを日本へ輸出し始めたことを受け、日本政府は2008年、韓国に対して年間30億ウォン(現レートで約2億8450万円)のロイヤリティの支払いを要求した。

韓国はロイヤルティの要求に対抗するため韓国産イチゴの開発に乗り出し、「ソルヒャン(雪香)」の品種を生み出した。自国産イチゴならばロイヤリティを支払う必要はないという発想が、「ソルヒャン」の開発を後押ししたわけだ。しかし、「ソルヒャン」は前述の日本品種「レッドパール」と「あきひめ」を掛け合わせて開発した品種であることも事実だ。

2018年の韓国ピョンチャン(平昌)五輪の際には、日本のカーリング女子「LS北見」のメンバーが試合中の休憩時間にイチゴを頬張る様子が「もぐもぐタイム」として話題になった。前述の経緯から斎藤健農林水産相(当時)は韓国のイチゴについて「以前に日本から流出した品種を基に、韓国で交配されたものが主だ」と指摘した。

「ソルヒャン」を皮切りに、輸出向けの「メヒャン(梅香)」や大粒の「アリヒャン」、桃の香りがする「キンスベリ」、糖度や風味が優れた「クムシル」などと韓国品種は増え、昨年、イチゴの国産化率は96%までになったと発表された。生産量も増加傾向にあり、2012以降は毎年、韓国の生産量は日本を上回っている。

今年の韓国イチゴの輸出額は先月27日までに5210万ドルで前年同期比29.3%増。農林畜産食品部は今年の輸出目標額を6500万ドルとしている。

農林畜産食品部は「イチゴ専用航空機の運営を通じ、物流混乱という困難な状況下でも韓国産プレミアムイチゴが順調に輸出されることを期待する」とし、「今後も韓国産イチゴの輸出拡大のため、生産から輸出全般にわたり支援を惜しまない」と話した。

イチゴだけでなくシャインマスカットなど、日本が数十年の時間と莫大な費用をかけて開発したブドウの品種が、風土も似ていてコストの安い韓国で大量生産・輸出され、韓国農民を支えている。この経緯を知っている良識のある農民たちは日本に感謝している。

韓国の歴史教科書では半島から日本に「輸出」された米穀を「收奪」と表現してきた。その反日教育に染まった人々には農民たちの気持ちが届いていないことも現実であり、ますます複雑な心境になる。

Copyrights(C)wowkorea.jp 6