(画像提供:wowkorea)
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韓国の裁判所が、三菱重工業に対し元朝鮮女子勤労挺身隊員らへの賠償を命じた訴訟で、同社は先週、裁判所が出した同社の特許権や商標権に対する売却命令を不服として抗告した。

韓国のテジョン(大田)地裁は先月27日、原告側が差し押さえた同社の商標権と特許権を売却し、賠償金などに充てる現金を確保することを認めた。原告の韓国人女性2人は、売却によって遅延損害金なども含め1人当たり約2億973万ウォン(約2000万円)を確保できるとみられている。原告は太平洋戦争中に名古屋などの工場に動員され、「労働を強制された」と訴えていた。韓国の大法院(最高裁に該当)は2018年11月、同社に賠償を命じる判決を出していた。

日本政府は元徴用工問題に関して1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場。資産を売却し現金化することは「日韓両国に深刻な状況を招く」としている。一方、韓国政府は「植民地時代の違法行為に対する個人の請求権は認められる」と主張している。

売却命令に即時抗告した三菱重工業は、最高裁まで不服を申し立てることができ、その間は売却できないため、実際の売却までには未だ時間がかかるとみられている。

一方、今月15日には、岸田文雄首相とムン・ジェイン(文在寅)大統領が約35分間にわたって電話会談をした。岸田首相が就任してからは初めてで、日韓首脳による対話としては6月に英国で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)で当時の菅義偉首相とムン大統領が対面であいさつを交わして以来となった。

岸田首相は電話会談で、元徴用工問題について1965年の日韓請求権協定を踏まえ、「適切な対応を強く求める」と要請した。これに対しムン大統領は「請求権協定の適用範囲をめぐる法的解釈に違いがある」とし、「両国間で外交的解決を模索するのが望ましい」と述べた。

また、ムン大統領は「虚心坦懐(たんかい)に話をしたい」と述べ、岸田首相に対し、対面での会談を呼び掛けたが、岸田首相は明確な回答を避けた。

岸田首相とムン大統領の初の電話会談は、かみ合わず平行線をたどったというのが一般的な見方だが、韓国のチョン・ウィヨン(鄭義溶)外交部長官(外相)は20日、会談について「とても良かった」と評価し、「韓日首脳電話会談に基づき、懸案解決に向けた協議を加速させることで合意したため、外交部も最善を尽くす」と述べた。

元徴用工問題に関しては、日本政府に代わり韓国政府が原告らに賠償金を支払い、後で日本側に請求する「代位弁済」案が韓国側から上がっている。しかし、今のところ、日本側はこの案に応じるつもりはないようだ。日本が自ら「債務者」と認める結果になるからだ。

実際の資産売却までに掛かる時間に、両国政府が打開のために何ができるのかが問われている。韓国と日本が問題打開に失敗した場合、日本が失うものは韓国との貿易などで得ていたGDP数パーセントの経済効果と韓国においての日本の評判である。しかし、反日扇動により、韓国にてその評判はすでに落ちているので、これ以上日本が失うものはそれほどない。

しかし、韓国には失うものが多い。まず日本との貿易などで得ていたGDP数十パーセントの経済効果が消える。韓国側は今回の訴訟を「違法行為」により「労働を強制」されたとし、原告らを「強制労働の被害者」だと主張している。その主張は、「1965年の約束で日本から金銭を受け取ったが、その約束には『違法行為』は含まれないので、再度払え」というようなものだ。

当時の徴用や勤労挺身隊を本当に「違法行為」と言えるのかは別問題として、このような主張が通用する社会の未来は目に見えてくる。法律家が権力に忖度(そんたく)し沈黙している間、真実も正義も、文明も理性も法治も、その未来から遠ざかっていく。

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