政府の個人融資政策、利用者も金融会社も限界に=韓国(画像提供:wowkorea)
政府の個人融資政策、利用者も金融会社も限界に=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国政府が投機を抑制し、住宅価格の高騰を抑えるために個人融資を制限したものの、これといった効果があらわれず、国民からの批判が高まっている。

 8日、韓国メディアの韓国経済新聞によると、最近オンライン融資コミュニティや大統領府の国民請願掲示板などに、政府の個人融資抑制政策を糾弾する投稿が相次いでいる。批判の理由は、住宅価格を安定させるために導入した「融資総量規制」が、かえって国民生活を圧迫しているといるからだ。韓国政府は各金融会社に、年間の個人向け融資の増加率を厳しく制限する「総量管理」を要求している。そのため、都市銀行はもちろん、クレジットカード会社、貯蓄銀行などでも相次いで貸付を減らしたり中断している。住宅購入のためには、まとまった資金が必要だが、融資が制限されたことで、銀行融資をあてにしていたマンション入居予定者たちの間で、不安が高まっているという。

 金融機関は、金融当局の融資総量規制に従わざるを得ない状況だが、この規制には「法律も原則もない」と内心反発している。融資総量を制限する根拠が銀行法にも施行令にもないだけでなく、金融監督院の監督指針も公文もなく「口頭要請」で行われているからだ。ある銀行の与信担当副頭取は、「金大中や盧武鉉政府のときに、それぞれ導入したLTV(担保認定比率)とDTI(総負債償還比率)規制は、政府の監督政策として進められ、世論の意見を十分に受け入れた。しかし、融資総量規制は法律や施行令だけでなく、一枚の公文すらない」と指摘した。

 融資総量規制は、過去に不良債権に陥ったことのあるクレジットカード会社や貯蓄銀行などを管理するための「影の規制」として存在した。昨年末から個人向け融資が急激に増えたことを受け、金融当局は金融会社の関係者らと懇談会を開き、業界別に次々と総量規制を導入しはじめた。こうした制限に原則がないため、金融機関内でも不満が高まっている。最近、金融監督院の関係者が融資総量をめぐって、クレジットカード会社の役員を罵ったという事実が知れわたり、反発を買った。

 経済紙のアジア経済新聞は8日、都市銀行に続きインターネット専門銀行も融資窓口を閉鎖したと報じた。金融当局の全面的な圧迫に、銀行圏はもとより、ノンバンクまで融資限度を下げたり、全面的に中止したことを受け、各インターネット銀行も一斉に同調した。融資先が絶たれ、直ちに資金調達が必要な自営業や住宅の入居予定者らの被害も膨らむものと懸念される。

 銀行からの資金調達が難しくなった自営業者、貸金業者への依存度が約72%に達した。

 ハンギョレ新聞は6日、コロナ禍の長期化で資金難に陥った自営業者が、銀行以外の金融機関や貸金業者に急速に追い込まれていると報じた。今年第1四半期、消費者金融による自営業者への融資残高は281兆ウォン(約26兆3千億円)だった。前年に比べ増加率は相互貯蓄27%、保険会社37.8%、貸金業などその他は71.8%に達した。自営業者は資金が引き続き必要だが、売上の減少や融資限度の超過で銀行からの借り入れが難しくなり、高金利のノンバンクへと移っている。

 自営業者がノンバンクなどから融資を受けた場合、信用度がさらに落ちるため、貸金業者やサラ金しか利用できない悪循環が起きている。こうした状況に憂慮の声が高まっている。
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