(画像提供:wowkorea)
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今年もノーベル賞のシーズンがやってきた。本日発表のノーベル物理学賞はまたも日本人学者が受賞したことが韓国で大きく報道されている。

地球規模の物質循環モデルを考案し、気候変動や地球温暖化の予測を可能にした日本人学者・真鍋淑郎(90)氏の受賞だ。日本人のノーベル賞受賞者は28人(米国籍の取得者を含め)で、物理学賞では12人目となった。

昨日の4日、韓国ではノーベル医学生理学賞の発表が生中継されていた。初めて韓国人ノーベル科学賞の受賞者が誕生する可能性があったからだ。結局は米カリフォルニア大学サンフランスシスコ校のデービッド・ジュリアス教授と、米スクリプス研究所のアーデム・パタプティアン氏が受賞した。2人は皮膚が温度や痛みなどを感じる仕組みを解明した。

韓国はこれまでノーベル賞とは縁遠く、2000年に北朝鮮との関係改善で平和賞を受賞したキム・デジュン(金大中)元大統領のみ。ノーベル賞の発表の時期が近づくと毎年、ノーベル科学賞受賞に期待が高まり、「熱望」は「悲願」に変わってきた。

今年、ノーベル医学生理学賞の候補として韓国メディアに名前が挙がったのが、コリョ(高麗)大学のイ・ホワン名誉教授だ。

イ教授は韓国北部を流れる河川、ハンタンガン(漢灘江)流域に生息していたセスジネズミから腎症候性出血熱の原因ウイルスを分離することに成功。1988年には世界で初めて出血熱予防ワクチンを開発し、1990年に「ハンタバックス」の名でワクチンが発売された。

韓国メディアは先月、米国の学術情報サービス会社「クラリベイト・アナリティクス」が発表した2021年の引用栄誉賞受賞者にイ名誉教授が含まれていることを伝えた。これまで引用栄誉賞受賞者のうち59人がノーベル賞に輝いており、受賞者はノーベル賞の有力候補と見なされる。

引用栄誉賞はノーベル賞の科学系4賞(医学・生理学、物理学、化学、経済学)と同じカテゴリで構成されており、2000回以上引用されている論文を基本に、研究への貢献度や他の賞の受賞歴、過去のノーベル賞から予想される注目領域などの観点から受賞者が選出される。今年はイ名誉教授を含め、世界6か国から16人が受賞した。

日本を目標として成長してきた韓国は、さまざまな事を日本と比較する。ノーベル賞受賞者数に関しては日本が28人に対して韓国は1人。ライバル視する日本に大きく水を開けられてしまっていることも、韓国人がノーベル賞を「熱望」し「悲願」する理由となっている。

東京オリンピックの女子バレーボール日韓戦のような大逆転を夢見るには、あまりにも圧倒的な差がついている。

韓国では、ノーベル賞を受賞できない原因に対して様々な分析がなされてきた。その原因としてしばしば指摘されるのは、(1)基礎科学への関心の低さ、(2)官・民の支援不足と研究環境の不備、(3)結果第一主義、この3点だ。

間違っている分析ではないだろうが、最も重要な原因が欠けている。(4)科学の理性・論理・合理より、非科学の感情を優先する社会雰囲気、である。

今年始め、慰安婦問題の歴史を科学的に考察して発表した米国学者の論文に対して、韓国社会からは科学的な反論はなく、感情的に対応をする姿しか見せていない。

数年前、韓国の学者が日本軍と慰安婦が「同志的な関係」だったと発表すると韓国社会は権力を動員し数年間もその学者を締め付けていた。以降、日韓関係のベストセラー本を書いた学者たちも苦難の道を歩いている。

このような雰囲気の社会では、理性や論理や合理性を重んじる「科学的な思考」は育たない。社会システムを超越した少数の超人・天才の登場を待つだけだ。

今年のノーベル賞は11日にかけて順次、各賞が発表されることになるが、是非とも韓国人学者も受賞できる事を願う。それがきっかけとなり、韓国社会が感情より理性を重んじる雰囲気に変わり、日韓関係も理性的な判断で正常に戻る事を切実に願いたい。

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