“不良たちのスポーツ”扱いを受けていたスケートボードの反乱(画像提供:wowkorea)
“不良たちのスポーツ”扱いを受けていたスケートボードの反乱(画像提供:wowkorea)
アニメが火をつけ、東京五輪が爆発させた。2020東京五輪の公式種目になったスケートボードのことだ。今年1月にスケートボードを題材にしたテレビアニメ『SK∞ エスケーエイト』が放送されたことで注目を浴びたが、若者の関心を集めるために導入したスケートボード種目で、日本が男女金メダリストを輩出し、日本列島がスケートボードに熱狂している。

 日本ではスケートボードは不良たちのスポーツという認識が強かった。いきなり飛び出し、夜中にもうるさい音を立てたり、離れ技を使って手すりやベンチを破損し、歩行者に突き当たる事故もしばしば起きるからだ。韓国で言えば電動キックボードのマナー違反利用客、いわゆる「キックラニ」(キックボードとキバノロの合成語)と似たような扱いを受けている。

 このような冷たい視線が向けられる中、今年1月、日本で『SK∞ エスケーエイト』が放送され、スケートボードの魅力をPRした。タイトルは“スケート君と無限大”の略語で、スケートボードによる無限の楽しみという意味だ。監督の内海紘子がスケートボードを素材にした理由は二つだ。一つは自らが好む趣味だからだ。もともとスノーボードが趣味だった内海監督は、雪が積もった場所を探すことが困難で、友達が薦めてくれたスケートボードの魅力にすっかりはまったという。これは後述する主人公「ランガ(Langa)」の設定に反映された。もう一つは、これまでスケートボードを扱ったアニメーションがないからという戦略的判断だという。

 『SK∞ エスケーエイト』のあらすじはこうだ。スポーツマンガによく登場する主人公タイプである努力派だが才能は(相対的に)ないレキとカナダのハーフという設定の天才的主人公・ランガが2トップで登場する。日本の沖縄を背景にしたこの漫画は、各自のやり方でスケートボードが好きな人物がお互いの長所を発見し、認めて成長するという内容がメインだ。悪役のように描かれている相手もやはり、レースを展開してからは再び主人公を応援するようになるという場面があり、青春成長物の性格も帯びている。

 スケートボードが不良たちのスポーツという認識は、作中でもよく表現されている。レストランの店主でスケートボードの選手でもあるジョーは、「スケートボードでお金を稼ぐわけでも、世間から褒められるわけでもない」と語った。作中で最強者にスケートボードを教えた菊池忠はさらに目立つ。「スケートボードは危険だ。少し怪我するだけで大きな負傷につながり、イメージも良くない。依然として不良たちの遊びというイメージがつきまとうし、人の目は冷たい。一生懸命鍛えても野球やサッカーのようにお金も稼げない。野蛮でマイナーで不幸になる無駄な遊び」という彼のセリフは、漫画的な誇張を考慮しても日本国内のスケートボードの地位を見せる側面がある。

 レースの設定でもスケートボードに対する認識が反映されているようだ。登場人物は閉鎖された鉱山で関係者だけが出入りできる極秘裏レース「S」に参加する。さらに、勝負に反則や暴力も認めるという点、深夜だけ開かれるという点は、スケートボード競技の参加者たちが薄暗く陰気なところで攻撃されているようなイメージを与える。

 それにもかかわらず、『SK∞ エスケーエイト』はスポーツマンガらしく、スケートボードの魅力について語る。レキは転校生・ランガの圧倒的な才能に挫折してスケートボードを諦めようとするが、スケートボードをする理由を再び思い浮かべる。地道に練習すれば、次第にできることが増えていくという。そして、いつでもどこでもできる楽しいことだという結論に行き着く。

 カナダ人の父親に2歳の時からスノーボードを学んだランガも同じだ。父親の死後、母親の故郷である沖縄に来たが、1年中常夏の沖縄ではスノーボードができない。その代わり、ランガは雪が降らなくても可能なスケートボードを通して成長し、スケートボードを紹介してくれたレキとも友情を深める。

 漫画を通してスケートボードの人気が高まる中、東京五輪ではスケートボード日本代表チームの朗報が相次いだ。五輪史上初めて採択されたスケートボードで、日本が金メダルを2個獲得したからだ。先月25日、男子ストリート決勝で勝利した堀米勇人(22)に続き、翌日には女子ストリート決勝で西矢椛(13)が金メダルを獲得した。

 早くも日本のスケートボード教室には小学生の入会が殺到している。NHKによると、東京五輪スケートボード競技場からわずか2キロ離れたスケートボード教室に小学生の受講生が急増しているという。「堀米選手の競技に惚れた」という女の子から、「自分と同じくらいの年齢で金メダルを取った西矢選手はすごい」と五輪を狙う男の子まで。このスケートボード教室の受講生は昨年同期に比べて2倍増えたとNHKは報道した。堀米選手の競技を観て意欲に火がついたという16歳の男子高校生は「同じ故郷の出身者として本当に誇らしい」とし、「堀米選手のようにスケートボードで滑ってみたい」と話した。

 ただ、スケートボードが日本国内で主流として認められるまでには程遠い。日本選手たちが相次いで金メダルを首にかけたが、競技場の外に出ればスケートボードは相変らず手荒にあしらわれる。堀米選手の小さい頃の練習場だった大島小松川公園では現在、スケートボードを禁止しているという点が象徴的だ。住民の苦情が殺到するここで、スケートボードをしていると警備員が駆けつけてきて制止するという。東京都内の10代の間では、スケートボードが出来る場所がないだけでなく、スケートボードの搬入さえ禁止する所が大半だという不満の声が多い。

 “バスケットボールは好きですか?”日本を代表するスポーツマンガ「スラムダンク」は1990年代、野球やサッカーに遅れを取っていたバスケットボールの地位を一気に押し上げた。これを可能にしたのは、バスケットボールに対する作家の深い愛情が一役買ったという評価だ。『作家が好きなものを扱ってこそ、見る人にも魅力が伝わる』として自らの趣味であるスケートボードを漫画化した『SK∞ エスケーエイト』の内海監督とも重なるように見える。漫画に人気が出る前には人気のない種目だったバスケットボールとスケートボードで勝負に出たという点も似ている。紆余曲折の末に開かれた東京五輪での金メダルと『SK∞ エスケーエイト』をきっかけに“不良たちのスポーツ”と認識されてきたスケートボードの地位も変わることができるだろうか。

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