(画像提供:wowkorea)
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韓国・現代(HYUNDAI)自動車の高級車ブランド「ジェネシス」が今夏、欧州に進出する。メルセデスベンツやBMW、アウディといったブランドが席巻している欧州市場に、アジアの高級車ブランドが割って入るのは困難なことだ。

 これまで同市場において日本のトヨタ自動車の「レクサス」は苦戦、日産自動車の「インフィニティ」は昨年、西欧から撤退している。現代自動車のジェネシスに、勝算はあるのだろうか。

 ジェネシスは、日本では正規販売されていないため馴染みが薄いが、韓国をはじめ、北米など進出した各国では評価が高い高級車だ。

 現代自動車初の高級車ブランドとしてジェネシスが立ち上がったのは2015年。開発に約10年の歳月をかけて生まれた。ブランド名は、ラテン語で「創世記」を意味する。これまで、韓国のほか、米国、カナダ、ロシア、中東、豪州に進出。今年3月までに約47万5000台が販売されている。

 ジェネシスが今夏、満を持して欧州市場に挑戦するのは、北米において高評価を得た成功体験があるからなのかもしれない。ジェネシスが北米に進出したのは2016年。2018年には、米国の消費者評価メディア「コンシューマーレポート2018」で「ベストブランド」の第1位を獲得。翌19年には、中型スポーツセダン「G70」が北米カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。

 また、米国の市場調査会社・JDパワーによる同年の米国自動車初期品質調査では、ブランド別で1位に。さらに昨年は、同じくJDパワーによる米国自動車耐久品質調査で1位に輝いた。ちなみに、この耐久品質調査では、日本のトヨタ自動車のレクサスが1995年から2019年までの間に、2010年の一度を除いて首位を死守し続けていたが、昨年、トップの座をジェネシスに奪われている。

 ジェネシス初のSUV(スポーツ用多目的車)として昨年1月に韓国と米国で発売された「GV80」のデザインは、かつて、ドイツのフォルクスワーゲングループで数々の名車のデザインを手がけたルク・ドンカーヴォルケ氏が指揮を取った。

 この「GV80」の名を一躍有名にしたのは、今年2月に米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した、プロゴルファーのタイガー・ウッズ選手による単独事故だ。ウッズ選手が乗っていたのがこの「GV80」だった。

 中央分離帯を越えて反対車線に乗り出し、約10メートルの高さの斜面を転がり落ちてもウッズ選手が一命を取り止めることができたのは、「GV80」の安全性能の高さによるものではないかと、米メディア各社が注目した。「GV80」には10個のエアバッグと前方衝突警告システム、運転者の居眠りを警告する内部カメラなどが搭載されている。

 今夏、英国、ドイツ、スイスを皮切りに進出する欧州市場では、この「GV80」をはじめ、大型セダン「G80」、中型セダン「G70」、中型SUV「GV70」を発売する。チャン・ジェフン(張在薫)現代自動車取締役兼ジェネシスブランド社長は欧州市場進出を発表した会見で「過去5年間、グローバル市場で品質が認められたジェネシスが欧州で新たな1ページを開くことになるだろう」と自信を見せている。

 また、来年、現代自動車は2009年に撤退した日本市場にも再参入する。日本市場では燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)に特化して事業展開するというが、仮にジェネシスが欧州市場で成功すれば、日本市場にもジェネシスが上陸するということも、全くあり得ない話ではない。

 現代自動車の成長過程は韓国経済そのものである。1945年、日本の敗戦で独立、激しい左右対立が続いていた1946年、「現代自動車工業」が設立された。自動車の修理屋であった。1950年から1953年までの朝鮮戦争で廃墟となった韓国にはクーデーターによる軍事政権が成立し、1965年には日本との国交が正常化された。その2年後の1967年、修理屋ではなく、メーカーとして「現代自動車」が設立された。

 米国フォードをあてにした設立だったが、数年で見捨てられる。その時、現代自動車を救ったのは日本の三菱自動車だった。この三菱から様々な技術提供を受け、1975年に初の国産車「ポニー」を生産することとなった。

 1980年代、現代自動車は三菱自動車の技術を基に、日本の「デボネア」や「パジェロ」、「デリカ」や「グランディス」そっくりの韓国産自動車を量産した。1986年、初めてアメリカに自動車を販売し、1988年には「ソナタ」を輸出することとなった。

 1991年には独自のガソリンエンジンを開発、「日本車ベースの安い車」から「韓国車」として米国市場での位置づけが少しずつ変わっていった。1998年には他の韓国自動車メーカー「起亜(KIA)」を買収した。起亜も日本の「マツダ」の技術支援で成長したメーカーである。マツダの技術供与で起亜が生産した「ボンゴ」は日韓共通の言葉になり、お世話になっていない韓国人はいないと断言できる。

 今や前述のとおり、高級車の本場ヨーロッパに高級車を輸出するほど、世界5大自動車メーカーとして成長した現代。韓国の絶対貧困の時代が過ぎた今、過去を忘れ現代のパートナー三菱に対して難癖を付けようとする人がいる。

 「戦犯」云々も聞こえてくるが、そもそも戦後の半島の南に成立した韓国は戦勝国ではない。戦時には同じ国籍で一緒に戦っていた仲間だった。戦勝国の米国すらもう「戦犯」などの難癖は付けない。愚かな人たちには、「現代」を通じて戦後の韓国経済に多大な貢献をしてきた「三菱」の存在は見えていないのだろうか?

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