2008年当時、韓国で米国産牛肉の輸入条件に反対している“ロウソク”デモ隊(画像提供:wowkorea)
2008年当時、韓国で米国産牛肉の輸入条件に反対している“ロウソク”デモ隊(画像提供:wowkorea)
「米国産牛肉を食べると、脳に穴が空く」

2008年 韓国ソウルのクァンファムン(光化門)は「ロウソク」で埋め尽くされた。米韓自由貿易協定(FTA)が推進される中、協議中であった米国産牛肉の輸入条件が知らされたことにより、「狂牛病」の危険性が懸念されたためである。「狂牛病」と呼ばれる「牛海綿状脳症(BSE)」は、脳にある海綿組織にスポンジのように穴が空くことで 認知症のように退行性障害を患い死亡する疾病で、治療が不可能である。牛から発病したり、その牛肉を摂取した人間も発病する可能性がある。

問題となった部分は、2008年 イ・ミョンバク(李明博)政権が米国と牛肉の輸入交渉の過程で「骨と内臓を含めた30か月以上、大部分の特定の危険部位を含めた30か月未満の牛肉」を輸入することを決定したことである。狂牛病にかかった牛の99.9%が30か月以上だという点が知られたことで、大規模な反政府デモが起こることになった。結局 韓国政府は、30か月未満の牛肉だけを輸入するということに方針を変えた。

この「狂牛病」の恐怖は、「当時 過度にクローズアップされた」とみられている。米国で狂牛病が発病した牛の数が極めて一部分でしかなく、去る2014年まで米国で人間狂牛病である“変種CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)”により死亡した4人全ては、海外旅行中に感染したためである。米国産牛肉の輸入を反対する理由として「狂牛病の危険性」をあげるには、根拠が貧弱であったということである。

狂牛病の恐怖により忌み嫌われていた米国産牛肉は、現在 韓国民の食卓の主要食材として定着している。韓国関税庁の資料によると、昨年 全体の牛肉輸入量が44万3245トンとなり 前年対比で小幅に減少したが、米国産牛肉の輸入量はむしろ3.2%増加した24万3197トンを記録した。輸入肉市場における米国産牛肉の占有率は54.9%で、全体の過半数以上を占めている。

米国肉類輸出協会が昨年下半期、韓国世論調査企業“韓国ギャラップ”と実施した「牛肉消費者認識調査」で、米国産牛肉が安全だという回答は62.9%を記録した。安全性が60%を越えたのは、米国産牛肉の輸入再開以来 初めてのことである。

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