俳優ユ・ジュンサン
俳優ユ・ジュンサン
ミュージカル「三銃士」、「フランケンシュタイン」、「あの日々」、「ロビン・フッド」など数々の名作で活躍する韓国ミュージカル界を代表するスターであり、俳優として、また歌手、映画監督としてもマルチに活躍するユ・ジュンサン

ユ・ジュンサン の最新ニュースまとめ

 最新作では、韓国で月火ドラマの同時間帯視聴率1位を独走した社会派ドラマ「操作(原題)」(CSチャンネル衛星劇場にて12月15日(金)~日本初放送)に出演し、後輩から尊敬を集めるエリート記者役を熱演。確かな演技力で物語に深みを与え、ドラマを引っ張った。

 また、歌手としてギタリスト、イ・ジュンファと「J n joy 20」というユニットを結成し、本格的に音楽活動も。年末にはコンサートも控えており、アグレッシブに活動を展開している。

 そんなユ・ジュンサンが、CSチャンネル衛星劇場にて、12月23日(土)に放送される「田代親世の韓流総決算2017」にゲスト出演するため、来日。スケジュールの合間を縫って、快くインタビューに応じ、この1年を振り返りながら、深い話を聞かせてくれた。


<B>―1年の韓流シーンを振り返る番組「田代親世の韓流総決算2017」にゲスト出演されましたが、ユ・ジュンサンさんにとっては、2017年はどんな1年でしたか?</b>
韓国の数え歳で、もうすぐ50歳(1969年生まれ)になるんで、どうしたら充実した時間を過ごせるか、いろいろ考えました。それで、ライフワークであるミュージカルに出演しながら、ドラマの撮影もあったので、時間を上手く配分し、さらに、好きな音楽に関する仕事もして、本当に充実した日々を送りました。それから、音楽映画の監督もしていて、すでに2作品を作っているんですが、次の3作目は富士山で撮影します。ことし初め、富士山に行って、ロケハンも済ませました。来年1月、富士山で撮影をスタートさせる計画です。

<B>―富士山を選んだのは、どのような理由ですか?</b>
最初の作品は南海(ナメ)で撮影し、次の作品は米国の都市を回りながら撮影したんですけど、3作目は、“春の物語”を撮りたいなと思い、どこで撮ろうかなと考えていたとき、僕の好きな日本映画「Love Letter」の「お元気ですか~?」というシーンがふと思い浮かんだんです。それで、富士山で「お元気ですか~?」と叫んだら、面白そうだなと思って、企画を進めることになりました(笑)。

<B>―どのようなテーマの音楽映画になるんでしょうか?</b>
“変化”と“変化しないもの”をテーマに作ろうと思っています。「お前すごく変わったね」というときもあれば、「お前何も変わっていないね」というときもあると思うんですが、その2つの内容を全く別の形で描き、音楽映画で、自分の人生を音楽と照らし合わせてみたらどうか、というところからスタートしている作品になります。

<B>―映画監督もされ、ミュージカル、ドラマ、音楽活動とバイタリティがすごいですが、その活力はどこからくるんでしょうか?</b>
演出に関しては、もともと映画が専攻だったし、音楽映画だったら演出したいと思い始めたんですが、結局、音楽も含め、僕がしている活動は、全て“いい俳優”になるための過程だと思っています。僕は年齢に似合わず、いろんなことに興味を持ち、好奇心が旺盛なんですよ(笑)。気になったことはすぐに調べたり、やってみたり。
それに旅行も好きで、いろんなところに行くんですが、今回日本に来てからも美術館巡りをしてきたんです。美術館に行くには歩かなきゃいけないし、自然にすれ違う人を見るようにもなるじゃないですか。そういう時間がすごく楽しくて。そういう過程から、いろいろな刺激を受けて、エネルギーがあふれてくるんだと思います。

<B>―ユン・ジュンサンさんが目指している“いい俳優”というのは、どのような俳優なんでしょうか?</b>
20年以上俳優生活をしてきましたが、俳優は自分が生きてきた経験を作品に、そのキャラクターに投影することなので、経験値が多ければ多いほどいいと思っています。その人物の深みや、その物語をしっかり把握すれば、上手く表現できるからです。
でも、結局人間だから限界があって、だからこそ、自分を見詰めて、それを克服していく、ということを繰り返し、訓練しています。そうすることによって、少しでも良い演技ができるようになるのではないかと思って。でも、そういう部分は実際、目に見えるものではないので、どうすべきなのか、ということについて、常に悩みながら役と向き合っています。

<B>―日本でも12月15日から日本初放送される「操作」は、ユ・ジュンサンさんが役の比重にかかわらず出たいと思い、出演を決めた作品だそうですね。</b>
韓国でこれまで、こういう社会派ドラマは、なかなかできなかったんです。でも、政権が代わって、自然にこういうドラマが制作できるような状況に変わりました。個人的には政権が変わる前に、こういう作品が作られて、議論を巻き起こせたらいいなと思っていたんですけど(笑)。そういう状況から、いまはこういう作品が思いきりできるようになったし、僕個人的にもこういう社会を告発するようなストーリーが好きなので、台本をしっかり見なくても、出演したいと思いました。

<B>―日本の視聴者にはどういう部分に注目してみてほしいですか?</b>
日本でも、現実的にこういう不正はありますよね?このドラマを見ることによって、代理満足してください。僕たちも漠然とやられてばかりいるのではなく、だからといって、外に出て戦うというわけではないんですが、“そういうことがある”ということを知っていれば、少しでも変化を起こすことができるので、ドラマを通して、そういう現実があるということを知り、考えていただきたいです。そうすれば、国も国民をむやみに扱うことはできないでしょう。まさに一石二鳥の効果があると思います。
それから、登場人物が多く、事件がいろいろ起こるので、集中していなければ、どんな内容なのか分からなくなります。だから、集中力を養うのにすごくいいです(笑)。1つの手がかりを見つけるため、ずっと事件を追っていくんですが、その手がかりが何なのか、待ちながら見るという面白さがあると思います。ただし、注意点があります。ドラマの途中でトイレに行くと、重要な手がかりを見逃してしまいます。トイレはドラマが終わった後に行ってください(笑)。

<B>―その「操作」が終わった後、韓国で初演のミュージカル「ベン・ハー」に出演されましたが、いかがでしたか?</b>
ミュージカルのスケジュールはだいたい1、2年前に決まるので、その間でドラマが決まったら、どちらにも了承を得て、出演します。その場合、ドラマの撮影をしながらミュージカルの稽古をするんですが、ドラマが終わる頃、ミュージカルが始まり、重なってしまうときもあります。
「ベン・ハー」では、奴隷として売られていくシーンで、腹筋部分が見えるんですよ。別に奴隷なんだから、シックスパックにしなくてもいいんですが、キレイに見せたほうがいいだろうと思って、体を鍛えました(笑)。
また、ミュージカル側にもドラマ側にも迷惑をかけてはいけないから、ベストで臨まなくちゃいけないじゃないですか。それで、「ベン・ハー」は、歌も含めて、1週間で1幕と2幕のセリフを全部覚えました。たぶん、キャストの中で、僕が一番早くセリフを覚えたんじゃないかな(笑)。そうすることによって、「あの人はドラマをやっているから」という声が出ないようにしました。
ドラマの場合、終盤に差し掛かると、時間に追われるんですよ。そうすると、若い頃は制作チームに、「次の日公演があるから、8時までに撮影を終えてください」とお願いしていました。それが、30代になってくると「10時までに撮影を終えてください」、40代になると「12時までに撮影を終えてください」と変わり、50代が近づいてきたら、「朝までに終えてくれたらいいですよ」という言い方になりました。それで、ドラマの撮影が朝4、5時に終わって、ちょっと寝て公演に行く、ということがあり、体力的には大変でしたね(笑)。

<B>―ちょっと寝ただけで、ミュージカルの公演を行うというのはすごいですね。</b>
年をとって良かったと思うのは、4、5時間寝ただけで、体が回復するということです。そんなに眠くならないんですよ(笑)。そんなことを続けていたら、5時間も寝たら、体が回復するようになりました。

<B>―見た目的にも、本当に若々しいですよね。年を感じさせないというか。</b>
最初の音楽映画は「僕が君から学ぶこと」という作品だったんですが、これは僕が若者をやたら説教する、小言を言うというものなんですが、自分自身も父親だから、子供たちに知らず知らずのうちにそんなことをしていたんです。ある日、奥さんに「そういうことはやめて」と言われて初めて、自分もそうなっているんだということに気付いたんです。
いま一緒に音楽をやっている20歳年下のイ・ジュンファにも、この音楽映画を作りながら、小言を言ったり、同じことを何度も言ったり。そうしてできた作品なので、この映画はある意味、自分をディスる映画になっています。そうして、自分自身を反省し、“そうならないようにしよう”“もっと思考を広げよう”ということを考えました。
年をとっていい面もありますが、自分のほうが年上だからという理由で、権威的になってはいけないと思うし。年をとったからといって、必ずしも成熟しているわけではなく、中には年相応の行動をとれない人もいますからね。だから、僕も自分に鞭を打ちながら、もっといい大人になろうと。そういうことを考えながら、先ほども言った好奇心、関心が自然とわきあがるようになり、若々しくいられるんじゃないでしょうか。でも、こういうことって遺伝もあるらしいですよ(笑)。

<B>―イ・ジュンファさんとは、ユニット「J n joy20」の年末コンサートが控えていますね。曲作りもご自分でされているということですが、演技とは違う音楽の魅力はどういう部分でしょうか?</b>
俳優は自分を通して、物語を伝えますが、音楽は自分の話を作ることができるし、自分の考えを込めることができるのが魅力だと思います。20歳の頃から、1年に1冊のペースで日記を書いているので、もう29冊もあるんですが、それを見返していると、いろんなことを考えるようになり、それがいい時間になります。
あと、旅行をしながら、突然起こる出来事や、例えば風が吹いて、なんらかの感情が刺激されて、感じたことを音楽として表現してみたり。そういうものが、皆さんの共感を得られればうれしいし、もし共感してもらえなかったら、次もっと良くなればいいなと思うし(笑)。音楽を作っているときは、自由な魂になることができるので、音楽活動を続けているんだと思います。

<B>―音楽活動といえば、日本でも10月1日にオム・ギジュンさん、ミン・ヨンギさん、キム・ボムレさんと4人でプレミアムコンサート「THEONE」を開催され、大盛況だったようですが、いかがでしたか?</b>
とてもよかったです。ステキな友達に会うということ自体、幸せだったし、みんな忙しくて時間があわなかったので、深夜に練習をしたんですが、深夜に練習をしても苦にならないぐらい、楽しかったです。付き合いが長い友達なので、セリフとかも、あえて作らなくても、自然に水が流れるかのように出てくるので、そんな姿を観客の皆さんがご覧になり、幸せを感じられたのではないかと思います。4人でのコンサートは本当に特別なコンサートでした。

<B>―今後の活動計画を教えてください。</b>
最初にも言いましたが、富士山で「スプリングソング」という音楽映画を撮影するのと、3月にミュージカル「三銃士」の10周年公演があり、数年前に出演の約束をしたので出るんですが、「三銃士」を50代でやるのは簡単なことではないので…。僕はいいんですが、観る方が大丈夫なのか、ちょっと悩みどころなんです(笑)。これを最後の公演にするのか、もっと続けるのか、そういう岐路に立っています。そして、その後には、「フランケンシュタイン」のアンコール公演も決まっているし、その合間に映画も決まっています。

<B>―来年も相変わらずお忙しそうですね。</b>
ハイ、幸い忙しいです。(笑)。日本でも、10月の「THEONE」がすごく楽しかったので、来年もその延長で、また4人でコンサートができたらいいなと思っています。


 今回初めてユ・ジュンサンと会ってみて、アラフィフとは思えぬほど、肌がキレイで若々しいことに驚かされたが、それは内面からくるもので、ポジティブなエネルギーあふれるマインドが、若さを保つ秘訣なのだということをインタビューを通して、実感した。

 インタビュー後、「自分の考えなどを深く話せるインタビューが、日本でもできたということがうれしかったです。こういう機会がもっと増えるといいなと思っています」と紳士的なあいさつまで、振舞いも完璧で、本当にステキな年のとり方をしていると思わせる俳優だった。ユ・ジュンサンはまだなお進化を追い求め、貪欲に走り続けている。

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