北朝鮮側の主張が正しいとしても、30時間以上の漂流でへとへと状態の韓国の公務員を80メートル離れて検問した後、返事がないという理由で射殺した責任をA氏に転嫁した部分については、韓国政府が明確に追及すべきだという主張も提起されている。
25日、大統領府が明らかにしたところによると、北朝鮮はこの日、今回の事件について韓国側に送ってきた通知文で、A氏を「不法侵入者」と判断し、事件の経緯を詳しく説明した。
北朝鮮は「カンリョン(康翎)半島沖の韓国側沿岸に浮遊物に乗って不法侵入した者に80メートルまで接近し、身分確認を要求したが、初めは1、2回、大韓民国の者だとはぐらかして返事をしなかった」と明らかにした。
続いて「取り締まり命令にはずっと沈黙して応じないため、さらに接近しながら2発の空砲弾を撃つと驚き、うつぶせになり、正体不明の対象者が逃げようとする状況になった」とし「これに対し、北朝鮮軍は艇長の決心の末、海上警戒勤務規定が承認する行動準則に従い、十数発の銃弾を不法侵入者に向かって撃った」と説明した。
まず、80メートルもの距離でA氏と意思疎通をしようとしたという北朝鮮側の主張をそのまま受け入れるには釈然としないという診断が出ている。
地上でもない海上80メートルの距離で少なくとも数十キロは泳いでいたはずのA氏の声を聞くのが果たして可能だったのかということだ。
軍当局によると、A氏は行方不明翌日の22日午後3時30分ごろ、ファンヘド(黄海道)トゥンサン(登山)岬付近の沖合で北朝鮮水産事業所の船舶に発見され、同日午後9時40分ごろ射殺されたものと推定される。
行方不明地点のソヨンピョン(小延坪)島付近の海上から約38キロ離れた登山岬沖まで、少なくとも30時間以上は海に浮かんでいたはずのA氏が、北朝鮮側に果たして十分に意思を伝えられる状態だったのかどうかも疑問だ。
こうした状況での答弁や態度を応じないと判断した北朝鮮の行為は果たして適切だったのかという問題提起と、これを「不法侵入者取り締まり過程で発生した不祥事」という北朝鮮の主張は説得力に欠けるという指摘が出ている。
北朝鮮は通知文で射撃当時、警備艇とAさんの距離は40~50メートルだったとし「射撃後、動きも声もなく、10メートル余りまで接近して確認捜索したが正体不明の侵入者は浮遊物の上にいなかった」と明らかにした。これに大量の血痕からA氏が射殺されたと判断し、A氏が乗っていた浮遊物を海上の現地で焼却したということだ。
このような説明から、結局、北朝鮮警備艇とA氏の間の最接近距離は40メートルに達したものと見られる。
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