<W解説>韓国、実用衛星を搭載した国産ロケット打ち上げに成功=宇宙産業でじわり存在感(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国、実用衛星を搭載した国産ロケット打ち上げに成功=宇宙産業でじわり存在感(画像提供:wowkorea)
韓国の国産ロケット「ヌリ号」の3号機が今月25日、南西部のチョルラナムド(全羅南道)コフン(高興)郡のナロ(羅老)宇宙センターから打ち上げられた。韓国政府は、打ち上げは成功したと発表した。韓国紙のハンギョレ新聞は「昨年の2回目の『打ち上げ実験』に続き、実用衛星を軌道に乗せる初の『実践打ち上げ』も相次いで成功したことで、韓国宇宙産業のロケット製作と打ち上げ運用能力に対する内外の信頼も大きく高まることになった」と伝えた。

ヌリ号は全長47.2メートル、最大直径3.5メートルの3段式ロケットで、今回の打ち上げの準備や運営には民間の「ハンファエアロスペース」も参加した。韓国の宇宙開発史上初めて、設計から製造、試験、打ち上げまで全過程を韓国の独自技術によって開発された。「ヌリ」のロケット名は韓国の古語で「世界」の意味を持つ。韓国政府は総額1兆9572億ウォン(約2000億円)の予算を投じてきた。

韓国の宇宙開発をめぐっては、ロシアと合同で開発した2段式ロケット「ナロ号」が2009年と2010年、2013年の3回、打ち上げられた。09年と10年は失敗。10年には打ち上げ2分後に空中爆発し、韓国とロシアの間で非難合戦も起きた。2013年にはようやく成功し、当時、韓国政府は「自国の打ち上げ場で、自国のロケットを使って自国の人工衛星を軌道に乗せた」と誇張したが、実際は1段目のエンジンがロシア製だった。

それだけに、国産ロケットの打ち上げは韓国にとって悲願で、ヌリ号は一昨年10月、羅老宇宙センターから初めて打ち上げられた。ロケットは16分ほどで高度70キロに到達し、その後、衛星の分離までは成功したものの、予定していた軌道に乗せることはできなかった。そして昨年6月、初めて打ち上げ成功し、当時、韓国は「宇宙強国の仲間入りした」などと歓喜に包まれた。しかし、この時に軌道に乗せたのは形状と重量を似せたダミー衛星だった。

今回、初めて実際の衛星を搭載。韓国科学技術院(KAIST)が開発した次世代小型衛星と、民間企業が開発した超小型衛星など計8機を搭載したヌリ3号は、25日午後6時24分、羅老宇宙センターから南南東の方向へ打ち上げられた。同37分、最終目標高度である550キロの軌道に乗せ、打ち上げは成功した。成功を告げる案内放送が羅老宇宙センターに流れると、関係者たちは歓喜し、拍手が沸き起こった。

実用衛星を搭載したロケットの打ち上げ初成功に、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は「韓国が宇宙強国G7(主要7か国)に仲間入りしたことを宣言する快挙」と祝福。「独自製作した衛星を独自製作した発射体に搭載して宇宙軌道に乗せた国は米国、フランス、日本、ロシア、中国、インドだけだ」とし「全世界で大韓民国の宇宙科学技術と先端産業に対する見方が大きく変わるだろう」と述べた。

また、ハンギョレ新聞は「韓国の宇宙産業は、民間が宇宙産業を主導するいわゆる『ニュー・スペース』時代の第一歩を踏み出したと評価される」と伝えた。朝鮮日報は「韓国が、国産発射体での宇宙の軌道に衛星を配達する『宇宙産業』に参入することになった」と報じた。海外メディアも今回の成功を評価する記事を出しており、AP通信は「今回の打ち上げは、韓国が軍事偵察衛星を運用し、長距離ミサイルを開発する技術とノウハウを蓄積する上で役立つ」とし、ヌリ号の打ち上げ成功が安全保障にも貢献すると分析した。ロイター通信は「初期段階の韓国宇宙航空技術が成し遂げた成果」と伝えた。

尹大統領は昨年12月、「未来宇宙経済ロードマップ」を発表。2032年までに月に、2045年までに火星に宇宙船を着陸させる目標を打ち出し▼月と火星の探査▼宇宙技術強国への飛躍▼宇宙産業の育成▼宇宙産業に携わる人材の養成▼宇宙安全保障の実現▼国際連携の主導といった6つの政策方向と支援策を示した。

また、尹氏は、科学技術情報通信部(部は省に相当)の傘下に専門家を中心に構成する宇宙航空庁を今年中に新設する考えを示している。

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