<W解説>再開した「日韓シャトル外交」、実質的な未来協力に向けた歩みにつながるか(画像提供:wowkorea)
<W解説>再開した「日韓シャトル外交」、実質的な未来協力に向けた歩みにつながるか(画像提供:wowkorea)
岸田文雄首相と韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が7日、ソウルの大統領室で首脳会談を行った。会談で両首脳は、2011年12月のイ・ミョンバク(李明博)大統領の訪日を最後に途絶えていた日韓首脳同士の相互訪問「シャトル外交」が短期間で本格化していることを歓迎し、日韓関係の改善の動きが軌道に乗ったという認識で一致した。また、北朝鮮の核・ミサイル問題に対して、日韓両国や日米韓3か国のそれぞれの安全保障協力を協会していくことを確認した。

岸田首相の訪韓は就任後初めて。また、日本の首相の訪韓としては2018年2月に安倍晋三首相がピョンチャン(平昌)冬季五輪の開会式に参加して以来5年ぶりとなる。

岸田首相は最初の日程として、戦没者などがまつられている国立墓地のヒョンチュンウォン(顕忠院)を訪れた。顕忠院は、日本による植民地時代に活動したド独立運動家や朝鮮戦争の戦没者など、国のために命を捧げた人たちを追悼するために設けられた国立墓地。岸田首相の顕忠院訪問について、ある外交消息筋は韓国の公共放送KBSの取材に「韓日関係の改善に拍車をかけ、安全保障などの分野で協力を強化するという意志の表れとみられる」と話した。

午後には大統領室で日韓首脳会談が行われた。同席者を限定した少人数会合と人数を増やした全体会合合わせて2時間近くに及んだ。尹大統領は冒頭、「東京で首脳会談を開いてから2か月も経たないのに、韓日関係は本格的な改善が明確にあらわられている」と述べた。また、「シャトル外交の再開に12年かかったが、われわれ2人の相互往来は2か月もかからなかった。過去の両国関係が良かった時代を越えて、より良い時代を作らなければならないという責任を感じる」と語った。岸田首相は「シャトル外交を本格化できることを大変うれしく思っている。3月の会談から2か月足らずの間に、さまざまな対話がダイナミックに動き出しており、2国間関係の進展について意見を交わしたい。また、G7サミットも見据え、北朝鮮を含むインド太平洋地域の最新情勢やグローバルな課題における連携についても議論したい」と述べた。

会談で両首脳は、福島第一原発事故の処理水について、日本が韓国の専門家視察団の派遣を受け入れることで合意したほか、今月下旬のG7広島サミットに合わせ、広島の平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑をと共に訪れて参拝することでも一致した。

会談後には記者会見が開かれ、岸田首相は歴史認識に関し、「おわびと反省」が盛り込まれた1998年の日韓共同宣言も踏まえ、「歴代内閣の立場を引き継ぐことを明確にした。この立場は今後も揺るがない」と強調した。また、尹大統領は「普遍的価値を共有する両国が安全保障、経済、グローバル課題に対応する過程で緊密に協力していかねばならないということを改めて合意した。北朝鮮の核・ミサイル開発が朝鮮半島と日本はもちろん、世界の平和と安全にとって重要な脅威だとの認識を共有した。G7広島サミットを機に、韓国、米国、日本3か国の首脳による緊密な意思疎通が重要だとの意見で一致した」と述べた。

今回の首脳会談について、韓国メディアはどう報じているのか。朝鮮日報は「『シャトル外交』が12年ぶりに復活したことになる」と評価した。一方、歴史問題について、岸田首相が「(植民地支配当時の)困難な環境の中で多くの方々が非常につらく悲しい経験をされたことは胸が痛い」と述べたことを紹介した上で「『謝罪と反省』には言及せず、韓国社会が望むほどのものではなかった」とした。

中央日報は「12年ぶりに再開したシャトル外交と首脳の信頼回復が政府と民間の交流拡大につながり、実質的な未来協力に向けた歩みにつながることを期待する。さらには過去史被害者の痛みもなだめるなど、完全かつ検証可能で、後戻りできない関係復元につながるよう願う」と論評した。

東亜日報は「これまでの韓日関係史が示すように、歴史問題に対する抜本的な和解がなければ縫合と対立を繰り返すレベルから抜け出すことは難しい」と指摘。「民心の動揺や政権交代にもかかわらず、未来協力の道を続ける関係を構築するには、首脳間の一時的な信頼を越えた両国民の歴史的和解が必要だ」とした。

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