<W解説>元日以降、表立った動きはなかった北朝鮮、記念日控える2月は挑発に転じるか?(画像提供:wowkorea)
<W解説>元日以降、表立った動きはなかった北朝鮮、記念日控える2月は挑発に転じるか?(画像提供:wowkorea)
米政府系の海外向け放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、北朝鮮東部のハムギョンナムド(咸鏡南道)のエンジン試験場で、固体燃料エンジンの燃焼試験を実施した痕跡が確認された。北朝鮮が「国防5か年計画」で挙げている固体燃料を用いた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発と関連している可能性もある。この動きと関連し、韓国紙の中央日報は、北朝鮮が先月1日(元日)に短距離弾道ミサイルを発射して以降、1か月にわたって挑発行動がなかったと指摘。その上で、今月は16日の故キム・ジョンイル(金正日)総書記の誕生日など、各種記念日が集中しているとして「『挑発スケジュール』を再び稼働させるのではないかとの見方が出ている」と報じた。

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VOAによると、咸鏡南道の「マグンポ(馬近浦)エンジン試験場」の周辺の草原に黒く焦げた跡ができていることが、「ジェームズ・マーティン不拡散研究センター」が先月30日に公開した衛星写真で判明した。焼け跡はエンジンンの試験台からラッパ状に広がり、長さは120メートルに達していたという。VOAは、強力な炎が噴出されたためにできた跡とみられることなどから、固体燃料エンジンンの燃焼試験が行われたとの見方を伝えた。

北朝鮮は昨年12月にもキム・ジョンウン(金正恩)総書記の立会いの下、大出力の固体燃料エンジンの燃焼実験を実施。同月16日付の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は実験に成功したと伝えた。

北朝鮮が現在保有しているICBM級のミサイルは液体燃料を使用しているが、燃料の長期保管が困難で注入に時間がかかるなどの短所がある、これに対し、固体燃料の場合は、保管が容易で速やかに発射できるため、探知や迎撃が難しくなることから、北朝鮮が開発に力を入れている。金総書記が一昨年に打ち出した「国防5か年計画」では固体燃料を用いたICBMの開発を掲げている。

北朝鮮は今年、新年早々、1月1日に首都・ピョンヤン(平壌)のリョンソン(龍城)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約100キロ、飛行距離は約350キロで、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側に落下したものと推定される。

金総書記は昨年末に開かれた党中央委員会総会で、核弾頭の保有量を大幅に増やす方針を示した。朝鮮中央通信によると、金総書記は「南朝鮮(韓国)が疑う余地のないわれわれの明白な敵となっている現況は、戦術核兵器の大量生産の重要性と必要性が強調され、核弾頭の保有量を大幅に増やすことを求めている」と指摘し、「2023年度核武力と国防発展の戦略」を表明した。また、金総書記は「核武力は戦争抑止と平和安定の守護を第一の任務とするが、抑止失敗の際に第二の使命も決行する」と述べた。この発言について韓国の聯合ニュースは「武力衝突が起きれば核兵器を攻撃手段として用いる考えを示したものとみられる」と伝えた。

先月31日(現地時間)の国連軍縮会議で、同会議の韓国代表を務めるユン・ソンミ駐ジュネーブ韓国代表部次席大使は「米国と日本、韓国を代表して答弁権を行使する」と述べ、北朝鮮に対し、核開発やミサイル挑発の中止を求めた。3か国が共同で答弁権を行使するのは異例。ユン大使は「国際社会は、北朝鮮がいかなる場合でも核保有国の地位を得ることはできず、今後もそうだという断固かつ一貫した立場を持っている」と述べた。これに、北朝鮮のチュ・ヨンチョル駐ジュネーブ北朝鮮代表部参事官は「共同答弁で出された挑発的な主張を全面拒否する。核戦力はわれわれの領土と人民を守るためのもので、世界の平和と安全保障を守るためのものだ」と主張した。

北朝鮮は今年に入って先月1日以降、挑発的な動きは見せていないが、外交消息筋は中央日報の取材に「北朝鮮は昨年末からICBMの発射や偵察衛星の発射など、今年の挑発スケジュールを予告し、7回目の核実験に踏み切る可能性もあるが、どれもすぐに使ってしまうには惜しいカードだ」と指摘。「ひとまず低姿勢になって年初は状況を注視しているものとみられる」との見解を示した。

今月は8日に朝鮮人民軍創建75周年、16日に故・金正日総書記の誕生日など、記念日が控える。これら記念日に合わせ、挑発行為に出る可能性もある。

韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は先月31日、オースティン米国防長官と会談した。両氏は日米韓の安全保障協力の重要性を指摘し、ミサイル情報の即時共有以外にも3か国が取り組む課題を探ることで一致した。今年も3か国の強固な連携が重要になりそうだ。

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