韓国政府「国民年金が枯渇」…市民団体「基金の消尽は推定上の結果」と反論(画像提供:wowkorea)
韓国政府「国民年金が枯渇」…市民団体「基金の消尽は推定上の結果」と反論(画像提供:wowkorea)
韓国政府が国民年金第5次財政計算を発表した中で、一部の市民団体が保険金の算定は、賦課方式費用率ではなく、GDP対比費用率を見るべきとの主張を提起した。

 韓国メディア「ヘラルド経済新聞」によると、28日、公的年金強化国民行動(以下、国民行動)は報道資料を通じて、財政計算そのものに限界があるとし、このように明らかにした。

 財政計算とは、これから2093年までの70年間、各種の主要経済変数と人口変数が変動すると仮定。国民年金がその期間、現在の制度のまま変わらないと仮定した場合、国民年金の財政がどのように移り変わるかを推定したものだ。

 国民行動では、「基金の消尽は推定上の結果であり、立証された事実とは言い難い」と指摘した。

 先立って国民年金財政推計専門委員会は27日、国民年金財政推計試算結果を発表。今回の推計では、基金が2055年に消尽すると予測した。これは2018年の第4次推計時に予測した2057年より、2年繰り上がった結果だ。

 国民行動では、実際に基金が使い果たされても、年金の支給には問題がないという点を明確にしている。

 今回の財政推計結果、基金消尽後の2080年に年金支出はGDPの9.4%で、2018年の第4次財政計算の時と同様の予測を出した。

 国民行動はこうした結果について、「今も欧州各国は年金の支出にGDPの10%以上を出している。英国やドイツ、スペインは基金がほとんどない。しかし、その国の高齢者で、基金がなくて年金を受け取れなかった人はいない。2080年に韓国は65歳以上の人口が47.1%に達する。この程度の人口に、GDPの9.4%を負担して、年金を支給できないということはないだろう」と主張した。

 続けて「マスコミでGDPの9.4%という数値をいわゆる賦課方式費用率で報道。基金が使い果たされれば、月給の30%を保険料として払わなければならないと伝えている。今回の財政計算では、この比率が2080年に34.9%に達すると予測した」と説明した。

「賦課方式費用率は、国民年金保険料の賦課対象所得が今から70年間変わらず維持されると仮定した時の保険料だ。現在の国民年金保険料賦課対象所得は、GDPの30%にも至らない。退職した人の人口が増えるのに、今後もGDPの30%にしかならない所得に対してだけ、年金の保険料を徴収しなければならないわけではない」と強調した。

 国民行動は「年金保険料賦課対象所得の範囲を広げるべきだ。老人の人口が増える未来には、租税も年金の支出に支援する必要がある。保険料だけで年金の支出費用を充当しようとしてはならない」と主張した。

 国民行動はまた、「収支赤字」や「枯渇」のような表現は、民間年金の考え方だ。基金を積んでこそ年金が支給されるわけではないと指摘した。

 民間保険会社は支給準備金を用意しておかなければ、年金を支給できないため問題になる。国民経済全体を対象にする国民年金のような公的年金は、持続的に新しい世代が補充されるため、基金を積み上げる必要がない。また、基金がなくても年金の支給には問題がないという説明だ。

 ただ、国民年金の問題については、改革を急ぐべきとの声が出ている。

 ソウル経済新聞は28日付の社説で、「年金改革は国家の持続性と未来世代の安定的な暮らしのための時代的課題だ。保険料率の引き上げには抵抗が伴うため、全国単位の選挙がない今年が、年金改革のゴールデンタイムだ」と指摘した。

 韓国世界日報の27日付社説でも、「票を意識した党利党略とは別に、政界が超党的協力で速度戦に乗り出さなければならない」とし、政界の協力を強調した。
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