<W解説>サムスン3代目の李在鎔氏、復権し会長の肩書き得るも依然続く「司法リスク」(画像提供:wowkorea)
<W解説>サムスン3代目の李在鎔氏、復権し会長の肩書き得るも依然続く「司法リスク」(画像提供:wowkorea)
韓国のサムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)氏(54)が先月27日、会長に昇格した。会長のポストは父親のイ・ゴンヒ(李健熙)氏が2020年10月に死去して以来、空席になっていた。韓国メディアは「会長昇格で名実ともに『李在鎔のサムスン』時代が幕を開ける」(聯合ニュース)などと伝えた一方、依然残る「司法リスク」も指摘した。

イ・ジェヨン の最新ニュースまとめ

 在鎔氏は創業者の孫で、1991年にサムスン電子に入社して以来、31年目にして会長に就任した。韓国では、現代自動車やSK、ロッテなど国を代表する企業で創業者の子孫が会長に就いているが、2012年にサムスン電子副会長となった在鎔氏は父親の健熙会長が2020年10月に死去して以降も実質的な経営トップでありながら、肩書は副会長であり続けた。これまで韓国の主要5大グループのトップで「会長」の肩書を持っていないのは在鎔氏だけだった。

 同社取締役会は、在鎔氏の会長就任について「グローバル環境が悪化している中、責任経営の強化と経営安定性の向上、迅速かつ果敢な意思決定が必要だと判断した」と説明している。

 同社が先月27日に在鎔氏の会長就任を発表するも就任行事などは行われず、在鎔氏が会長就任にあたって抱負を語ったのは裁判所の前だった。

 在鎔氏はサムスングループのサムスン物産が繊維会社と合併した際、在鎔氏への安定的な経営権の引継ぎを図るため、両社の株価を人為的に操作したとして、2015年に役員らとともに起訴された。この事件の公判は現在も続いており、在鎔氏は会長就任が発表された27日も、ソウル中央地裁で開かれた公判に出席した。

 午前に裁判を終え、裁判所から出てきた在鎔氏は、会長となったことについて報道陣に「肩の荷がかなり重くなった。国民に少しでも信頼され、愛される企業をつくりたい」と語った。

 これに韓国紙の朝鮮日報は「会長として第一歩を踏み出した場所が裁判所だった点は、李会長をめぐる司法リスクが依然として解消されていないことを示している」と指摘した。

 在鎔氏は2017年、パク・クネ(朴槿恵)元大統領らへの贈賄容疑で逮捕され、その後、懲役2年6月の実刑判決を受けて収監された。昨年8月に仮釈放され、実質的には経営に復帰していたが、特定経済犯罪加重処罰法上、就業が制限されてきた。しかし、今年8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)に合わせた恩赦の対象となり、自由な経済活動が可能になった。恩赦を前に発表したコメントでは、「新しく出発できる機会をくださったことに、心から感謝申し上げる」とした上で、「持続的な投資と若者雇用の創出により経済に助力することで、国民の皆様の期待と政府の配慮に恩返ししていく」と決意を示していた。

 この事件に関しては復権措置が下されたが、前述のように、株価操作事件では公判が続いており、在鎔氏は週1~2回裁判に出席している。朝鮮日報は「一審だけで1年6か月間続いている裁判が最高裁まで争われた場合、少なくとも3~4年間続くものとみられる」と伝えた。

 前述のように、サムスン電子取締役会は在鎔氏の会長就任について「責任経営の強化と経営安定性の向上、迅速・果敢な意思決定のためのもの」と説明しているが、市民団体などからは「大統領に特別復権(8月の恩赦)させてもらったとしても、直ちにサムスン電子の会長に就任するのは責任経営とは程遠い」と批判の声も上がっている。コリョ(高麗)大学のキム・ウチャン教授(経営学)もハンギョレ新聞の取材に「裁判リスクが明らかな人が韓国最大の会社の会長職に就いたというのは非常に不適切だ」と懸念を示している。

 在鎔氏自身の裁判リスクのみならず、同社を取り巻く経営環境も頭が痛い問題だ。主力の半導体市況の落ち込みなどで、27日に発表された今年7~9月期の連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が10兆8520億ウォン(約1兆1200億円)で前年同期比31.4%減少した。10~12月期はさらに悪化するとの見方が大勢だ。

 会長就任に際して在鎔氏自らも報道陣に「肩の荷がかなり重くなった」と語っているように、厳しい道のりが続きそうだ。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3