<W解説>韓国における日本旅行の予約数急増は「ノージャパン」の終えんを意味する?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国における日本旅行の予約数急増は「ノージャパン」の終えんを意味する?(画像提供:wowkorea)
日本政府は、今月11日から個人旅行客の受け入れを解禁し、ビザなしの短期滞在を認める。これに伴い、韓国では日本への旅行予約が急増しているという。こうした動きに、韓国経済新聞は2019年7月からの韓国における日本製品の不買運動も事実上、終わるとする見方を伝えた。

 不買運動は、日本政府による対韓輸出管理強化に抗議する目的で始まった。「脱日本」をスローガンに、「買わない、売らない、行かない」とする「ノージャパン運動」が韓国全土で展開された。

 不買運動の影響で、それまで人気だったアサヒやキリン、サッポロなど日本メーカーのビールも不買の対象となり、一時、コンビニなどから商品が消えた。かつて輸入ビール1位だったアサヒは「ノージャパン運動」以降、圏外に沈んだ。ビールのみならず、日本車や衣類などあらゆる日本製品がターゲットとなり、大手アパレルグループ「ファーストリテイリング」傘下のファストブランド「GU」や、化粧品通販大手「DHC」など、韓国市場から撤退に追い込まれるブランドもあった。

 しかし、一連の不買運動は当初から「選択的不買運動」とも揶揄(やゆ)された。一昨年、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の人気ソフト「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」が韓国で大ヒット。発売日前日から大勢の人が販売店に並ぶ様子が見られた。日本製であっても代替となる韓国製品が存在しなければ飛びつく状況に、ネット上では「不買運動をしていても、『あつ森』は買うんだなあ」と一貫性がない消費行動を指摘する声も上がった。

 日本の人気漫画「鬼滅の刃」も、劇場版アニメの公開時に、主人公の耳飾りが「旭日旗に似ている」と指摘する声も上がったが、ふたを開けてみれば大ヒット。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は韓国で観客動員数約210万人を記録したほか、コミックス版はソウルにある大手書店の全書籍のランキングで一時、1位となった。

 また、不買運動を受けて日本からの投資や進出する企業が減ったことは韓国の雇用にも悪影響を与えることとなり、不買運動がブーメランのように跳ね返ってくる状況にもなった。

 新型コロナウイルスの大流行を挟んで「ノージャパン運動」は下火となり、日本製ビールも韓国市場で持ち直しの動きが見られるようになった。韓国関税庁の統計によると、今年第1四半期の日本ビールの輸入額は266万6000ドルで、前年同期比22.6%増加した。こうした状況を受けて韓国のコンビニ業界は5月、日本製ビールの割引キャンペーンを再開した。CUやG25、イーマート24など韓国コンビニ4社は、輸入ビールのキャンペーン品目にアサヒ、キリン、サッポロなどの日本製ビールを追加。コンビニ業界が割引キャンペーンに日本製ビールを含めたのは2019年8月以来のことだった。

 不買運動は観光業にも影響し、訪日韓国人客は急減した。しかし、日本政府が、先月7日から新型コロナの水際対策を緩和したことや、さらに今月11日からはノービザでの個人旅行を許可されることから、韓国では日本への旅行予約件数は急増している。旅行会社「チャムジョウン」の最近の日本旅行の1日平均予約者数は約500人で、不買運動が始まる以前の数に回復したという。

 韓国の民間シンクタンクの東アジア研究院と日本の非営利シンクタンク「言論NPO」が先月発表した世論調査結果でも、韓国人の日本への好感度の変化が読み取れる。日本に対して良い印象を持つ韓国人の割合は昨年の20.5%から今年は30.6に増加した。これは2013年の調査開始以降、過去最高だった2019年(31.7%)に次ぐ高水準だ。不買運動が本格化した後に集計された2020年の調査では12.3%と過去最低を記録したが、今年はほぼ不買運動前の水準にまで回復した。

 韓国人消費者からは「一昨年までは不買運動が盛んだったけれど、新型コロナの影響か、ちょっと忘れられた感がある」との声も聞かれる。

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