<W解説>北朝鮮の最高人民会議に、またも「謎の女性」の姿=4月に登場した女性とは同一?別人?(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮の最高人民会議に、またも「謎の女性」の姿=4月に登場した女性とは同一?別人?(画像提供:wowkorea)
今年4月、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記に付き添う女性の姿が確認され、「謎の随行員」と話題になった。そして今月8日に開かれた国会にあたる最高人民会議で金総書記が施政演説を行う際、眼鏡をかけた女性の姿が確認され、その後の宴会にも出席していた。この女性はいったい誰なのか?

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 謎の女性が韓国内外のメディアで注目され始めたのは、今年2月に開かれた朝鮮労働党の党大会。女性が金総書記に演説文を手渡す様子が朝鮮中央テレビの映像に映った。その後4月に入ってから頻繁に登場するようになった。4月11日、高層マンションの建設を祝う竣工式で、金総書記らによるテープカットが行われる際、ステージの端で見守る姿がカメラに捉えられた。その2日後の高級住宅の竣工式でも、群衆の歓迎を受ける中を歩く金総書記から少し離れた後方に、女性の姿があった。さらに2日後、ピョンヤン(平壌)中心部の広場で行われたパレードで、壇上から群衆に手を振る金総書記の至近距離にこの女性の姿が映像に映った。

 女性は眼鏡をかけ、年齢は30~40代と推定された。一方、この女性は公の場で金総書記の妻、イ・ソルジュ(李雪主)氏ら以外は全員が着けている、キム・イルソン(金日成)主席とキム・ジョンイル(金正日)総書記の肖像が描かれたバッチを着けていなかった。このことからこの女性が特別な立場の人物で、金総書記の母親違いの姉のキム・ソルソン(金雪松)氏ではないかとの見方がされた。雪松氏は金総書記の父、正日氏とかつての妻・キム・ヨンスク(金英淑)氏との間に生まれた娘で、金総書記より10歳ほど年上とされる。しかし、雪松氏の存在は謎に包まれており、現在も依然としてこの女性が雪松氏であるのかは明らかになっていない。

 今月8日、北朝鮮では政権樹立日74周年を祝う記念行事が開かれたが、これを報じた朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」からは、行事で一人の女性が金総書記の至近距離で随行する様子が確認できる。この後開かれた宴会でも、女性は金総書記の妹、ヨジョン(与正)氏らと同じテーブル席に座っていた。

 従来、金総書記の随行や式典担当は与正氏や朝鮮労働党副部長のヒョン・ソルウォン(玄松月)氏ら側近中の側近に限られていた。玄氏は元歌手で、金総書記の指示で2012年に結成された音楽グループ「モランボン楽団」の団長。一部の韓国メディアは過去に玄氏について「金総書記の元恋人」と報じたこともある。2018年6月にシンガポールで開かれた米朝首脳会談の際は金総書記に同行。高速出世を果たし、現在は党中央委員と党宣伝扇動部副部長の要職にあるとされる。

 今回、確認された女性について、韓国紙の中央日報は「この随行員は金与正副部長、玄松月党副部長と相当近い関係にあるように見える」と指摘。両副部長の後に続く「新しい随行員と推定される」と分析した。また同紙は「玄副部長の役割縮小ではないかとの分析も出ているが、玄氏は宣伝扇動部副部長として重要な役割を担っており、儀典における人材配置を多様化させているのではないかとの見方もある」と伝えた。

 ただ、今回確認された女性と、4月に頻繁に確認された女性が同一人物かはまだ分かっていない。韓国紙の東亜日報は「別の人物」との見方を伝えている。複数の「ニューフェイス」たちが与正氏や玄氏が担っている随行秘書の役割を受け継いだり、一部を担ったりしている可能性があるという。ある外交消息筋は同紙の取材に「金総書記がそれだけ儀典を重視し、対外的に『正常国家』であることを誇示する意図があるように思える」と指摘。「彼女らが付帯的にどんな役割を果たしていくのか、今後さらに見守っていく必要があるだろう」と話した。

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