<W解説>韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権が打ち出した、北朝鮮問題解決のための「大胆な計画」とは?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権が打ち出した、北朝鮮問題解決のための「大胆な計画」とは?(画像提供:wowkorea)
韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は今月22日、統一部(部は省に相当)のクォン・ヨンセ(権寧世)長官に対し、北朝鮮が実質的な非核化を受け入れた場合に提示する「大胆な計画」について、現実性ある方策を入念に準備するよう指示した。

 「大胆な計画」とは、5月10日の尹氏の就任式の際、尹氏が演説で明らかにした対北朝鮮政策の概念だ。就任前まで尹氏は、北朝鮮による差し迫った攻撃の兆しがあれば先制攻撃も辞さないと、北朝鮮に対し、厳しい姿勢を取る可能性を示唆していた。しかし、就任演説では、「北朝鮮の核兵器プログラムは、わが国のみならず北東アジアの安全保障にとって脅威だが、これを平和的に解決できるよう対話の扉は開いている」とし、「北朝鮮が実質的な非核化プロセスに着手すれば、国際社会と協力し、北朝鮮の経済強化や生活向上につながる大胆な計画を提供する用意がある」と述べ、途絶えている非核化交渉の再開に意欲を見せた。

 22日、尹大統領に業務報告をした権長官は記者団に対し「最も重点的に報告した事項は、『大胆な計画』を中心に北朝鮮の非核化と南北信頼構築の好循環を推進していく案」と述べ、「『大胆な計画』については、北朝鮮が提起する安全保障の憂慮と要求事項などを含め、経済的・安定的な総合的次元の相互段階的な措置を包括的に盛り込む案を報告した」と説明。北朝鮮の安保憂慮の解消、経済難の克服などを通じて、北朝鮮がもはや核を開発する必要を感じないほどの計画を構想中であることを明らかにした。

 これに先立ち権氏は、13日にソウル市内で開かれた学術会議で「対北政策の新しい道を切り開くため、まず解決すべき課題は北の核問題」とし、「非核化の進展なしには南北関係の進展も期待しにくい」と強調。「このため尹政権は『大胆な計画』を構想している」と説明した。

 しかし、この「大胆な計画」は、イ・ミョンバク(李明博)政権の2008年に打ち出され失敗に終わった「非核・開放3000」と酷似しているとして懸念の声も出ている。当時の李大統領は就任演説で「北朝鮮が核を放棄して開放の道を選べば、南北協力に新しい地平が開かれるだろう」とし、「国際社会と協力して10年以内に北朝鮮住民の所得が3000ドルに達するよう支援する」と方針を示した。しかし、北朝鮮はこれに対して、核問題は米朝の間の問題であり、韓国が北朝鮮の開放政策に口をはさむこと自体非礼だとして、李政権への批判を強めた。

 これを受け李政権は方針転換を迫られ、核放棄や相互主義を北朝鮮に求めるが、北朝鮮の核放棄前でも南北の経済協力を積極的に進めるとする「相生共栄政策」を打ち出した。しかし、この政策に対しても北朝鮮の反応は芳しくなく、北朝鮮は、米朝関係改善を優先し、韓国との関係改善は後回しにする「通米封南政策」に固執。南北関係改善の動きは停滞した。

 安全保障環境に変化がない状態の中、経済支援の約束だけで北朝鮮が非核化に乗り出す可能性は低く、尹氏が「大胆な計画」で押し通そうとすれば、李氏と同様、対北政策で「つまずく恐れもある。こうした懸念に韓国政府の関係者は、韓国紙・ハンギョレ新聞の取材に「『大胆な計画』の特徴は、経済的な措置の他に北朝鮮が核を開発する根拠としている安保憂慮にまでアプローチしていること」と強調。北朝鮮が抱いている安保憂慮をも取り除き、もはや核を開発する理由がないと思わせる政策であるとして、李政権の「非核・開放3000」と一線を画した。

 尹氏は就任演説で「一時的に戦争を回避する脆弱な平和ではなく、自由と繁栄が花咲く持続可能な平和を追求しなければならない」と述べ、ムン・ジェイン(文在寅)前政権が取った、対北融和政策を批判していた。しかし、権氏は13日の前述の学術会議で「過去の政権の対北政策が意味がないものだとは考えていない」とし、「尹政権は過去の政権の政策を否定する過ちを決して繰り返さない」と述べた。

 2017年9月以来、7回目となる北朝鮮の核実験が「秒読み段階」とも言われ、緊張が高まっている。こうした中、尹政権の「大胆な計画」は、どのような結果をもたらすのか。

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