<W解説>韓国人歌手PSYの水を使った演出のコンサートが波紋続き(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国人歌手PSYの水を使った演出のコンサートが波紋続き(画像提供:wowkorea)
「江南スタイル(Gangnam Style)」のヒット曲で日本でもその名が知られる韓国人歌手PSY(サイ)のコンサートをめぐり、観覧した観客から新型コロナウイルスの感染者が続出しているとして、防疫当局が調査に乗り出すことになった。来月20日まで韓国各地で開催予定のPSYによる「ずぶぬれショー2022」をめぐっては先月、韓国内で当時、深刻な水不足に見舞われた地域がある中で大量の水を消費する演出自体にも批判が上がった。

PSY の最新ニュースまとめ

 PSYといえば、2012年7月にリリースしたアルバム「PSY6甲」のタイトル曲「江南スタイル」が世界的に大ヒットし、一躍、韓国を代表するスターとなった。同曲のPVは、動画投稿サイトYouTubeで最も視聴された動画の一つ。今年4月25日時点でYouTube公式MVにおける累計再生回数は、約44億回に上っている。

 韓国では先月上旬、中部のチュンチョンナムド(忠清南道)や南東部キョンサンナムド(慶尚南道)など各地で深刻な水不足に見舞われ、干ばつ被害が発生した。北東部のカンウォンド(江原道)インジェ(麟蹄)郡を流れるソヤンガン(昭陽江)では当時、川の水が干上がり、川底が見える状態となった。一帯は川魚漁が盛んな地域だが、舟が出せず漁業が大打撃を受けた。

 そんな中、PSYによる「ずぶぬれショー2022」の計画に、ネット上などで批判が相次いだ。コンサートでは約300トンの飲料水をまいて、参加者にびしょ濡れになりながら公演を楽しんでもらうという演出を企画。韓国各地で開催し、毎回300トン使うことになれば、期間中に計約4200トンの水を消費することになる計算で、当時ネット上では「共同体意識を持たなければならない」「干ばつに、山火事まで発生しているのに、いいこととは思えない」「水をまくのではなく、別の企画を考えては?」と企画変更を求める声が相次いだ。

 こうした批判を受けての対応かは明らかになっていないが、PSYは「ずぶぬれショー2022」について、追加公演の会場として発表した中部のチョンジュ(清州)での開催を取り消すと明らかにした。しかし、「ずぶぬれショー2022」自体は7月9日に予定通り始まり、8月20日までに全国7都市で開催される。

 15~17日にはソウルで開かれ、16日には世界的な人気を誇るボーイズグループ「BTS(防弾少年団)」のSUGAがサプライズ出演し、観客を沸かせた。SUGAは今年4月に発売されたPSYのアルバムのタイトル曲「That That」に作詞家、作曲家、編曲家、フューチャーリングラッパーとして参加するなど、PSYと交流がある。この日サプライズ出演したSUGAはラップを披露した。

 観客を大いに楽しませたソウル公演だったが、韓国の防疫当局は26日、「ずぶぬれショー2022」の観客の中から新型コロナの感染者が相次いでいるとして、調査に乗り出す方針を明らかにした。中央防疫対策本部のパク・ヨンジュン疫学調査チーム長は「どんな行為が危険要素となったのかは調査が必要な部分だ。多数の観客が集まる大衆イベントや大規模コンサートは感染拡大の危険が増すため、少しでもそれを小さくするため、屋外活動とはいえどんなことを守らなければいけないかはこれまでお伝えしてきた」と語った。

 ネット上では「私の周りでは、コンサートに行った子供の中で、これまでコロナに感染したことがない子供はみんなかかった」「コンサートに行った後に感染した人が、私の周りでは一人や二人ではない」「コンサートに行った友達と接して私もコロナにかかった」などといったコメントが相次いでいる。

 このコンサートをめぐって、防疫当局は先月「公演中に水をまいてマスクが濡れた場合、細菌が繁殖するなどの危険がある」として懸念を示し、自粛を求めていた。これに対し、PSY側はすべての観客にマスク3枚を配るなどの対策を講じるなどし、ここまで予定通りコンサートを続けてきた。

 コンサートは、来月20日まで、カンヌン(江陵)、ヨス(麗水)、テグ(大邱)、プサン(釜山)などで行われることになっている。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3