シールは序の口…20年ぶりに起こったポケモン熱風の理由とは=韓国報道(画像提供:wowkorea)
シールは序の口…20年ぶりに起こったポケモン熱風の理由とは=韓国報道(画像提供:wowkorea)
“狂風”

 今年2月の販売以降、1500万個以上が売れた「帰ってきたポケモンパン」シンドロームを表現する最も正確な言葉だ。MZ世代(ミレニアル世代とZ世代、1980~2000年代生まれ)が幼い頃に「ポケモンパン」と共にした思い出が歳月を巡って中古取引市場を騒がせ、巨大な社会現象にまで広がっている。

 パンに同梱されたポケモンキャラクターの“ティブティブシール”(何回も貼って剥がせるシール)は中古市場の貴重な商品だ。最も珍しい「ミュー」や「ミューツー」のキャラクターシール中古取引価格は、製品発売後、現在まで5万ウォン(約5000円)程度で取引されており、相場が下落することを知らない。パン(1500ウォン/約150円)とデザート(2000~3300ウォン/約200~340円)の販売価格をはるかに上回っているが、それでも登録された中古シールが怖いほど売れていく。

 中古取引プラットフォーム「稲妻市場」によると、今年3月の最初の2週間(2月28日~3月13日)でのポケモンの検索件数は約36万7000件で、圧倒的な1位となった。このため、稲妻市場内でも159種類のティブティブシールをすべて集めようとするユーザーの取り引きが爆発的に増加した。ティブティブシールの中でも希少性のある「ミュー」は需要性が高く、約2万件の検索件数を記録した。

 このような状況から、射幸性論議も起こっている。「ただのシール一つを手に入れようと人々が列を作り、何万ウォンもするシールをまた買うことが理解できない」という世論もかなりある。

 いずれにせよ、“ポケモン狂風”は否定することが出来ない現象だ。今日もポケモンのティブティブシールを求める人々はコンビニに集まっている。流通業界ではオン・オフラインを問わず、製品を一つでも多く仕入れようとし、陳列棚に並んだ商品はすぐに飛ぶように売れている。

 SPCグループは押し寄せる注文数量に合わせるため、始華(シファ)、城南(ソンナム)、嶺南(ヨンナム)工場などを24時間稼動させている。それでもオン・オフラインで“オープンラン(店舗が開店する前から人々が並んでいる現象)”が日常茶飯事だ。最近、オンラインでもポケモンシールが入っている商品の販売を開始したが、SPCサムリプの公式オンラインショップをはじめ、11番街やHモールなどでは毎日午前11時の販売開始後、1分足らずで商品が売り切れになっている。

 顧客たちは日本からの直接輸入市場にまで参入した。SPCサムリプの商品を手に入れることがかなり困難なため、日本の製パン業者である第一パンが生産するポケモンパンを手に入れようとする“直接輸入族”まで登場したのだ。

 SPCサムリプはティブティブシールの需要に合わせるため、近く、ケーキ類の製品も販売する予定だ。SPCサムリプが用意するロールケーキ製品は容量が430gで、ポケモンパン(80~100g)に比べて3~4倍大きい。増やした容量の分だけシールも増え、3枚のティブティブシールが入っている。ロールケーキ製品が発売されれば、ポケモンのティブティブシールを探していた顧客の喉の渇きも一部が解消される見通しだ。容量が大きくなっただけに、価格も1万ウォン(約1000円)をはるかに超える見通しだ。

 SPCグループはポケモンのIP(知的財産権)を活用したマーケティングをパンだけに限定していない。ポケモンの人気が冷めないだけに、さまざまな商品にマーケティングを拡大する計画だ。かつて好調だった製品の生産ラインを増やして失敗した“増設の呪い”を避けるためだ。

 一例として、SPCグループのバスキンロビンス(31アイスクリーム)は今月、ポケモンを活用したケーキとアイスクリーム製品を子どもの日に合わせて発売する。ポケモンのフィギュアなどを作って売り場で販売する予定だ。

 SPCサムリプだけがポケモンのティブティブシールを独占供給できるため、流通業界では類似製品マーケティングに取り組んでいる。韓国のeコマース企業であるクーパン(Coupang)はポケモンのホログラムシールが入った冷凍おやつである韓国最大の食肉加工大手・ハリム社の「ポケモン チーズホットドッグ」と「ポケモン チーズナゲット」を発売した。ロッテマートのおもちゃ売り場「トイザらス」はポケモンの50種類のシールがランダムで1枚ずつ入っている「ポケットモンスタースナック」を3種類発売した。

 農心ケロッグはシリアルブランド「チェックスチョコ ポケモン企画パック」をお披露目した。チェックスチョコに同梱されたピカチュウカードは、日本の月刊漫画誌が限定版として発売したカードの韓国バージョンだ。

 SPCサムリプの関係者は「子どもから過去の思い出にひたる成人まで幅広く愛されているポケモンパンの“進化”をテーマに、味と品質、ティブティブシールまでアップグレードした」とし、「今後も思い出を蘇らせられるポケモンパンのさまざまな新製品の発売が予定されているので、期待してほしい」と話した。

 ポケモンパン狂風を説明するキーワードは「思い出」だ。ポケモンパンは1999年に韓国地上波・SBSでアニメ「ポケットモンスター」が放送されて以来、爆発的な人気を集めると、ロッテ製菓などでさまざまなコラボ商品が発売されたのが始まりだと言える。そのうち、ティブティブシールは1990年代後半当時、子どもたちの心を鷲掴みにし、シール集めが流行した。当時、一か月に500万個以上も売れた。

 経済力を持った2030世代にとっては当時は高く感じていたパン1袋を思う存分買えるようになり、これが現在のポケモンパンブームの最大の原動力だ。思い出のアイテムを20年ぶりに再び買い集め、レアキャラクターのシールを手に入れると“付加価値”を創出することもできるため、購入中毒に陥るのだ。

 30代前半の男性・ハ某氏は「子供の頃、小遣いをやっと貯めて食べていた思い出のパンだが、今年2月の再発売当時、まだ手に入れることが難しくなかった時に懐かしい気持ちで一度に20個を買ったこともある」とし、「そのようにして手に入れたティブティブシールは、子供の頃の思い出を再び呼び起こし、私に購買金額以上の価値を与えた」と話した。

 業界ではポケモン狂風が過熱しすぎているという指摘に対し、「どうせ数年間続く現象ではないので、あまり懸念する必要はない」と見ている。

 流通業界の関係者は「LP、有線電話機のような骨董品も数十万ウォンを上回っているが、理解できない価格かもしれない。しかし、中古取引市場は必ずしも論理的にのみ作動するわけではない」とし、「一人一人が持っている思い出と懐かしさが価値を生み出し、それが反映される現象がポケモンのティブティブシールブームだ」と説明した。

 この関係者は「あえてこの現象を軽く見るよりは、さまざまな形で販売されるキャラクター製品が今後、高い付加価値を創出することもあり得るという方向で見るのが正しいのではないか」と反問した。
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