軍事パレードに元帥服姿で登場した金正恩氏=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
軍事パレードに元帥服姿で登場した金正恩氏=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が25日夜に首都・平壌で実施した朝鮮人民革命軍(抗日遊撃隊)創建90年記念の閲兵式(軍事パレード)で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は祖父の故金日成(キム・イルソン)主席をほうふつとさせる白い「元帥服」姿で登場した。金正恩氏が公の場で元帥服を着たのは初めて。北朝鮮は金日成氏を国の武力の創設者、金正恩氏を米国などの大国に立ち向かえる「核保有国」に導いた指導者として取り上げ、2人の姿を重ね合わせようとしている。

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 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は28日、軍事パレードで元帥服姿の金正恩氏を目にした住民の声を伝え、元帥服姿の「1953年の金日成氏」と「2022年の金正恩氏」を同一視することに焦点を当てた。

 1950年に勃発した朝鮮戦争に参戦した老兵は同紙に、元帥服姿の金正恩氏を見たとたん「喜びと激情で胸が高鳴った」と明かし、「偉大な勝利を収めた1950年代に心が向かうのを止められなかった」と語った。さらに「戦勝の喜びの中で『金日成将軍万歳』を叫んだあのときの感激がよみがえった」とし、金正恩氏の姿を「もうおひとりの太陽の姿」と表現した。

 同紙は社説でも、「元帥服を着て閲兵式を観閲する敬愛なる総秘書(総書記)同志」を見た住民らが「戦勝の閲兵広場で答礼した偉大な(金日成)首領様を見ているかのような厳粛な感情に包まれた」と記した。

 金日成氏は1953年7月に朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた直後に平壌で戦勝の軍事パレードを開いた際、初めて白い元帥服を着て登場した。これは軍の最高統帥権者としての金日成氏の地位を端的に示す姿として住民の脳裏に焼き付いた。

 韓国・国家安保戦略研究院のキム・インテ責任研究委員は「北の住民なら誰もが金正恩氏の元帥服姿を見て戦争直後の金日成氏を思い出すだろう。金日成氏と金正恩氏がオーバーラップするはずだ」と話す。

 金正恩氏は2012年4月に党トップの党第1書記に就いてから丸10年を経て、朝鮮人民革命軍創建記念の軍事パレードで元帥服を着ることによって祖父の権威を手中に収める意思を表明したものと受け止められる。

 金日成氏が1932年に創設した朝鮮人民革命軍は抗日パルチザン闘争を展開した組織で、北朝鮮はこれを軍事力建設の始まりとみなしている。このときの小規模な武力を孫の金正恩氏が「核武力の完成」に至らせ、祖父と同じ地位に上り詰めたと北朝鮮は暗に語っている。

 一方、金正恩氏の元帥服の肩章が大元帥の肩章と似ていたことから、金正恩氏が大元帥の称号を授与されたとの見方も出たが、北朝鮮メディアが「元帥服」であることを強調しているため、肩章の模様を若干変更したものと推定される。


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