韓国電力、昨年の営業損失5.8兆ウォン…原油高に電気料金が横ばい(画像提供:wowkorea)
韓国電力、昨年の営業損失5.8兆ウォン…原油高に電気料金が横ばい(画像提供:wowkorea)
韓国電力公社(韓電)が昨年、6兆ウォン(約5800億円)近い赤字を出した。これは2008年、金融危機で国際原油価格が高騰した時期に記録した年間営業損失2兆7981億ウォン(約2683億円)の2倍以上で、創業以来最大幅の損失だ。原油価格の上昇で燃料費の負担が大幅に拡大したものの、電気料金を上げられずに収益性が悪化したためと見られる。

 韓電は24日、昨年1年間、連結基準の営業損失が5兆8601億ウォン(約5619億円)となり、赤字に転落したと発表した。前年は4兆863億ウォン(約3918億円)の営業利益を出し、3年ぶりに黒字を記録していた。

 2020年には原油安で、4兆1000億ウォン(約3923億円)の営業利益を上げたが、1年ぶりに再び赤字になった。昨年の売上は60兆5748億ウォン(約5兆7976億円)と、前年比3.4%伸びている。しかし、5兆2549億ウォン(約5000億円)の純損失を出した。

 昨年、7~9月期(第3四半期)の営業損失は4兆7303億ウォン(約4527億円)と、前年同期(営業利益9337億ウォン・約900億円)に比べ大幅の赤字だ。同期の売上高と純損失は、それぞれ15兆5184億ウォン(約1兆4851億円)と3兆6736億ウォン(約3516億円)だった。

 昨年、売り上げが増えたにもかかわらず、大幅な損失を出したのは、燃料費や電力購入費は増えたものの、電気料金を十分に引き上げられず、費用負担をそのまま抱えたためだ。

 韓電によると、昨年の電力販売量は、製造業の平均稼働率が増加して前年より4.7%増えた。しかし、電気料金(燃料費調整料金)は10~12月期(第4四半期)に1回引き上げされただけで、電気販売の収益も2.7%増に止まった。

 このような中で、費用はさらに増えている。昨年、韓電子会社の燃料費や韓電が民間発電会社から購入した電力費が、前年同期比それぞれ5兆9069億ウォン(約5653億円)と5兆9069億ウォン(約5653億円)増加した。これは液化天然ガス(LNG)や石炭などの燃料価格が大幅に上昇したためだ。

 また、温室効果ガス削減のために石炭発電の使用を制限したため、燃料費が高いLNG発電量が増え、RPS(新再生エネルギー義務供給)比率が7%から9%へと引き上げられたことも影響を及ぼした。発電設備および送配電設備の取得に伴う減価償却費の増加などにより、その他の営業費用も1兆4314億ウォン増えた。

 韓電の経営実績は、原油価格の変動に幅を利かす様相を見せてきた。これを解決するために、燃料費連動制を導入したが効果は出ていない。今年は4~6月期(第2四半期)以降、2回にわたり電気料金の引き上げが予定されている。しかし、業界では韓電が10兆ウォン(約1000億円)以上の営業損失を記録するものと見込んでいる。

 政府が計画した料金引き上げだけでは、費用上昇分をカバーできないためだ。ウクライナの事態で原油価格の高騰が続くことになれば、赤字幅はさらに拡大しかねない。

 韓電は「燃料価格の追加上昇で、財務リスクが大きくなると予想される」とし、「財務危機に対応するため、非常対策委員会を設置して、電力供給費用節減、設備効率改善、非核心資産売却など、燃料費を節減するための努力を傾ける」と明らかにした。

 つづいて「電力市場の価格変動性を緩和するために、電力市場制度を改編し、燃料費など原価変動分を電気料金に反映する案を政府と緊密に協議していく」と述べた。
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