大統領選の候補者たちが公約に掲げる「動物診療費標準報酬制」…ペットの病院代下がるか=韓国報道(画像提供:wowkorea)
大統領選の候補者たちが公約に掲げる「動物診療費標準報酬制」…ペットの病院代下がるか=韓国報道(画像提供:wowkorea)
韓国の与野党の大統領選候補がペットを飼う世帯の票を狙って「動物診療費標準報酬制導入」を公約に掲げた。動物病院ごとに千差万別の診療費に対するペットを飼う世帯の不満が高まっているためだ。しかし、政府が診療報酬の標準化に向けた第一歩を踏み出したばかりなのに、標準報酬制の導入までにはかなりの期間がかかるという見通しとともに、診療費介入のためには支援も伴わなければならないという指摘も出ている。

2021年11月に動物診療費標準報酬制の導入を主張していた共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)大統領選候補に続き、国民の力のユン・ソギョル(尹錫悦)候補も20日、ペット公約第1号として動物診療費標準報酬制の導入を提案した。

動物診療費標準報酬制とは、診療項目について適正な診療費用または診療費用の上限・下限を政府や専門機関が決定し、全ての動物病院で均一の診療費にすることをいう。韓国では1999年まで標準報酬制に類似した動物病院医療酬価制が施行されていたが、同年、独占規制や公正取引に関する法律の適用が除外される不当な共同行為などの整備に関する法律の施行により廃止された。動物病院の診療費の談合を防ぎ、自由競争を通じて診療費が下がることを促すという趣旨からだ。

しかし、医療酬価制の廃止後、動物病院ごとに異なる診療費を比較することが難しいという不満が高まっている。韓国消費者連盟が昨年、過去3年間の動物病院関連の消費者被害988件を分析した結果、診療費の高額請求に関する被害が最も多いことが分かった。また、2020年に実施された調査で動物病院の利用経験がある人の80%以上が診療費が負担に感じると答えている。ペットを飼う世帯が4世帯に1世帯と大幅に増え(2020年調査、27.7%)、このような診療費の負担を解決するために標準報酬制を導入するという案が大統領選挙の公約として提示された。

ただ、標準報酬制の導入のためには、標準診療体系がまず設けられなければならないだけに、早期の導入は現実性が低いと指摘されている。現在は同じ診療行為に対しても手続きが異なり、同じ疾病(しっぺい)に対してどこからどこまでを診療行為とみなすかについて標準化がなされていない。特定の診療項目について適正な費用の範囲を決めるためには、診療項目の標準化作業がまず必要だ。

政府はこの作業の第一歩を踏み出したばかりだ。農食品部長官が動物の病名、診療項目など動物診療に関する標準化された分類体系を作成して告示する内容の獣医法改正案が先月国会で成立し、これを受けた標準体系告示は2024年から始まる。政府は現在、標準体系を整備するための作業を進めており、まず普遍的な疾病から標準体系を作った後、次第に対象を拡大していく方針だ。農食品部関係者は「動物医療酬価制は公取委の判断で廃止されたため、政府としてはこれに対しては慎重な立場」としながらも、「ただし、標準体系が整備されれば診療費を下げる方向に誘導する効果があると期待している」と述べた。

一方で、動物病院の診療費に対し、政府が介入に乗り出すなら、それ相応の支援策作りも並行して行われるべきだという指摘も出ている。大韓獣医師会の関係者は「政府が公共性のある分野の価格介入に乗り出す場合、その支援策も必要だ」とし、「包括報酬制のように政府が価格を統制する制度を導入するためには、ペットの公的保険の導入など国が責任を負う部分もなければならない」と述べた。
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