こうした批判が出てくるのは、臨終はおろか、別れのあいさつもできずに故人を見送った後、家族が罪悪感やトラウマに悩まされるなど、心の傷を訴えているからだ。
「韓国では過去2年間、新型コロナで死亡した6166人の遺族が、最後に別れのあいさつもできず故人を見送ったものと推定される」と、韓国メディアの中央日報が14日付けの社説で指摘した。
こうした中、韓国経済新聞は13日の記事で、野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)大統領選候補が、新型コロナに関連した政府の葬儀指針について強く批判したと報じた。
安候補はこの日(13日)、フェイスブックに「政府は家族の臨終権を奪い、人間らしく死ぬ権利を剥奪する葬儀指針を破棄せよ」とし、「この世を去る時、死亡者の尊厳と遺族の哀悼が保障されるべきだ」と訴えた。
続いて「人間らしく生きる権利ほどに重要なのが、人間らしく死ぬ権利だ。その核心は家族の臨終権」とし、「しかし、現場の環境と政府の曖昧な指針により、ある葬儀場では家族一人だけが監視テレビで臨終を見守ることができるが、ある所はそれも不可能な状況だ」と指摘した。
2年前に初めて発表され、一度改正された「新型コロナによる死亡者葬儀管理」指針では、過去の中東呼吸器症候群で無条件に火葬して世論の非難を受けた問題点を補完して制定された。最初の章で、「死者の尊厳と礼遇を保ち、遺族の意思を尊重する迅速かつ体系的な葬儀支援」と明示されている。しかし、実際は指針とは異なるとの見方もある。
中央日報の社説で指摘しているところによると、韓国政府がコロナの死亡者をすぐに火葬しなければ、葬儀支援費を支給できないという方法で、「先火葬、後葬儀」を事実上強制しているという。遺族たちは火葬前の最後の瞬間まで、故人の顔さえ見られない場合が多いとう指摘だ。
葬儀の方法についての選択権を遺族に返し、最期を見送ることができるよう、システムを作り直せという専門家の苦言に、韓国政府は耳を傾けるべきだ。
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