暗号資産の課税、大統領選挙を前にしてまたも先送り…納税は2024年から=韓国(画像提供:wowkorea)
暗号資産の課税、大統領選挙を前にしてまたも先送り…納税は2024年から=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国では来年の大統領選挙を前に、暗号資産(仮想通貨)の課税時期が2022年から2023年へと再び先送りになった。

 韓国政府は法的安定性や政策信頼性の観点から、予定通り来年1月から課税すべきだと発言していた。しかし、来年の大統領選挙を前にして、与野党が口をそろえて課税猶予を主張。与野党が若者層の票を取り込むために、課税を猶予したものと見られる。

 韓国の国会企画財政委員会は30日、全体会議を開き、このような内容の所得税法など税法改正案を議決した。

 同日処理された税法改正案には、暗号資産所得の課税時期を「2022年1月」から「2023年1月」に変更する内容を盛り込んだ。

 2023年からは基本控除金額の250万ウォン(約24万円)を超える暗号資産の譲渡・貸与所得に対して、20%の税率で税金を納めることになった。ただ、実際の税金納付は翌年の2024年5月から始まる。韓国内居住者の場合、毎年5月に直前1年分の投資所得を直接申告し税金を納めるからだ。納税は1年間に複数の暗号資産から出た所得と損失を合算して税金を課す損益通算を適用する。

 例えば、ある投資家がビットコインを処分して1千万ウォン(約97万円)の差益を得たが、イーサリアム(Ethereum)で500万ウォン(約48万円)の損害を被った場合、残りの500万ウォンのうち基本控除金額を除いた250万ウォンにだけ課税する。現在保有している暗号資産の場合、課税施行前の価格上昇分については課税しない。

 当初、政府は昨年発表した税法改正案で、2021年10月から暗号資産への課税を開始する計画だった。しかし、国会での可決過程で、課税時期が2022年1月に3か月延期された。その後、今年の国会でも課税時期が2022年1月から2023年1月へ再び1年延期となった。1年の間に課税時期が、2回も延期されることになった。

 ホン・ナムギ(洪楠基)経済副首相兼企画財政相はこの日、企財委全体会議で「政府としては来年から暗号資産の課税が施行されるべきだと何度も申し上げた」とし、「暗号資産の課税基盤は、来年から課税しても問題がないように構築されている」と述べた。

 国会が暗号資産の課税を猶予したことに、同意できないという考えを最後まで貫いたものと見られる。国会が自ら作った法律を見直して、暗号資産の課税を延期したため、今後、すべての課税が延期されかねないという懸念も出ている。

 ソウル市立大学のキム・ウチョル教授は「課税時期を1か月後に控え、納税者の反発や不満を意識して課税を猶予することは公正ではない」とし、「税制の安定性の側面はもちろん、租税受容性を害するという側面からも非常に良くない先例」と指摘した。

 キム教授は「最近、財政が悪化している中で、今後も歳入を拡充し、税源を拡大することになる。しかし、このようにその都度税制を決めて変更すれば、納税者が課税を受け入れるのがますます難しくなるだろう」と付け加えた。
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