物価・金利上昇の勢いにも…止まらない「一方的なばらまき公約」=韓国(画像提供:wowkorea)
物価・金利上昇の勢いにも…止まらない「一方的なばらまき公約」=韓国(画像提供:wowkorea)
インフレへの恐怖が高まっている。韓国では来年3月9日の大統領選挙が近づくにつれ、与野党の大統領候補による「ばらまき公約」が相次いでいる。

 世界的なインフレーションの傾向は、韓国経済にも影響を及ぼしている。コロナ禍の克服に向け、各国が供給した流動性やグローバル供給網の不安など、供給要因が重なった結果だ。これにワクチン接種拡大に伴う防疫封鎖の緩和・解除、消費回復など需要の要因も追加されている。

 10月の米国消費者物価指数(CPI)は、1年前より6.2%上昇した。31年ぶりの最大の上げ幅だ。同月、中国の生産者物価指数(PPI)の上昇率は、昨年同月比13.5%だ。これもやはり歴代最高値だ。

 国会立法調査処は今月3日、「物価上方リスク要因の主要内容および争点」と題する報告書で「米国と中国は世界経済に及ぼす波及効果が大きい。韓国経済は輸入依存度も高く、両国の物価上昇が韓国では物価リスクになる可能性がある」と説明した。

 韓国の物価はすでに跳ね上がっている。今年に入って9月まで6か月連続2%台だった消費者物価上昇率は、10月に3%台(3.2%)に上昇した。9年9か月ぶりの最高上昇率だ。時差を置いて消費者物価に反映される10月の輸入物価は、1年前より35.8%も高騰した。13年ぶりの最大の上げ幅だ。

 大統領選挙という大きな政治的変数も登場した。莫大(ばくだい)な予算が必要な「ばらまき公約」は後遺症が生じる恐れがある。与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)大統領候補は、全国民への追加災害支援金の支給を主張した。1人当たり30万~50万ウォン(約28000~48000円)、計15兆~25兆ウォン(約1兆5000億~2兆4000億円)程度の財源が、必要とされる見通しだ。野党「国民の力」のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領候補は、自営業者に50兆ウォン(約4兆8000億円)の追加損失補償を掲げた。

 ホン・ナムギ(洪楠基)経済副首相兼企画財政相は、両候補の構想について、「財政を考えると難しい」という意見を示している。今年、第2次補正予算基準の国家債務は965兆3000億ウォン(約93兆円)で、来年は1000兆ウォン(約96兆円)を超えることになる。現政権に入り、国家債務の増加規模は400兆ウォン(約39兆円)に上る。

 国策研究機関である韓国開発研究院(KDI)は11日、「2021年下半期経済展望」を発表し、全国民災難支援金の景気浮揚効果は大きくないと説明した。むしろ、大規模な災害支援金が物価上昇をあおり、脆弱(ぜいじゃく)階層の実質所得を減らす、逆効果を生みかねないという指摘が出ている。
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