「錯視効果」の画像。写真なのに動画のように見える。(画像提供:wowkorea)
「錯視効果」の画像。写真なのに動画のように見える。(画像提供:wowkorea)
韓国がIMD(国際経営開発研究所: International Institute for Management Development)の国際競争力ランキングが始まって以来、30年経って初めて、日本を上回ったと韓国メディアが一斉に報道した。

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2020年基準の韓国の国家競争力ランキングは23位となった。日本は34位だ。25年前の1995年に韓国が26位で、日本が4位であったものが、ついに今日に至って、逆転に成功したと、韓国人の多くが喜んだ。

であれば喜ぶべき人々が更に居る。サウジアラビア、マレーシア、リトアニア、エストニア、チェコ、キプロス、タイなどの国民だ。2020年のランキングで、日本を上回った国々だ。

事実、もっと前の2019年の国家競争力ランキングでも、既に韓国(28位)は日本(30位)を上回っていた。その時、中国(14位)やマレーシア(22位)、タイ(25位)、サウジアラビア(26位)等が韓国と日本よりランキングが高かった。

であれば、例えば、タイを無視するものではないが、このようなIMDの国家競争力ランキングに基づいて、「タイが韓国や日本より国家競争力がより高い」と語ったならば、容易に首肯しうるだろうか?

IMDの国家競争力ランキングは、1989年からスイスの国際経営開発研究所(IMD)がOECD加盟国および新興国などを対象に国家ごとの競争力を分析した後、発表する資料だ。経済性、政府の効率性、企業の効率性、インフラなどの4つの側面から、様々な項目を評価する。

評価比重の60%は、国際機構などの外部から入手した客観的データ(統計など)を根拠に構成される。評価比重の40%はアンケート調査を実施して得た回答内容を反映する。すなわち、当該分野の数多の関係者らに対してアンケートを送って回収された回答を40%も反映するのだ。

万が一、企業の効率に関する内容であれば、多くの企業の最高経営者らに対してアンケートを示して、例えば、企業が効率的に運営されていると考えれば6点、そうでなければ1点にチェックするようにさせるやり方などで実施される。

従って、評価の相当部分は主観的であるほかないという限界を有する。日本の国家競争力ランキングが低く出て来るほかないのは、数値上に表れる財務の健全性(政府負債の比率)の所為だ。IMDは各国の政府負債の状態を相当な比重で評価に反映するようだ。

この点はIMDが各国政府の負債をGDP比で60%以下へと低くするのに必要な所要年数などを計算した「各国政府負債ストレステスト」と言う資料を別途発表する程、政府負債の方に神経を使っていることだけを見ても分かる。

30年前の1991年の日本のGDPに対する政府負債の比率は38%と非常に良好だった。そして当時の日本の国家競争力ランキングはトップレベル(1995年に4位)を維持した。日本の良好な政府負債の比率が評価に相当部分反映された結果と見られる。

ところがその後、日本が景気浮揚に積極的に乗り出すと同時に、政府負債の比率は2000年に100%を突破し、2010年に200%を経て、2020年には266%を記録するようになった。日本は現在、世界最高水準の政府負債比率を記録している最中だ。

結局、IMDによる日本の国家競争力は、政府負債比率の増加にそのまま連動して、そのランキングが絶え間なく下の方に思いっきり倒れたものと解釈しうる。万が一、政府負債の90%以上を自国民(日本国民)が保有する状態だという点と、円貨と言う国際通用貨幣(ハード・カレンシー)をいつでも発行可能だという点が評価に十分に反映されたとしたら、日本のランキングははるかに違っていただろう。

ムーディーズ、S&P、フィッチなどの国際信用評価社(格付け機関)が付ける国家信用等級(格付け)もまた同様だ。韓国が日本より優秀な等級(格付け)を得たと喜ぶが、日本が与えられた国家信用等級(格付け)の裏面にはIMDの国家競争力のケースと似た一種の「錯視効果(錯覚)」のようなものが定着しているのが分かるようになる。

最近の20年余りの間、日本に対する国際信用評価社による殆ど終始一貫したコメントは「今回の信用等級の引き下げは日本政府の過度な財政支出による政府負債の増加の所為」だという風な内容だ。例えば2000年6月29日付のメディアは日本の国家信用等級に関して次のように報道した。

「国際的な格付け機関のフィッチIBCAは、日本政府が景気浮揚の為の財政支出によって過度な負債を抱えている状態であり、今回の格付けの下降調整はこのような公的金融部門の健全度を反映したものだと明らかにした。フィッチIBCAは特に日本政府の公的負債は最近の数年の間に急激に増え、経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で最高水準だと付け加えた…」

政府負債の大部分を自国民が保有し、その気になりさえすれば、貨幣をいくらでも刷り出せ得る日本の特殊性がきちんと反映されたのであれば、やはり日本の国際信用等級ははるかに違っていただろう。一言で言って、表面に見えるGDP比の政府負債の数値を機械的に反映したのが、今日、実力に比べて相対的に低く出て来る日本の国家信用等級の秘密だと見られる。

問題は韓国だ。負債比率を詳細にじっくり観察すれば危険な水準だ。国際金融協会(IIF:Institute of International Finance)が2020年9月末基準で公開した「グローバル負債モニタリング」資料によれば、韓国は「家計負債比率」が非常に深刻な状態となった。

GDP比で100.6%だ。この時の米国の家計負債比率は81.2%、中国は59.8%、ユーロ圏は60.5%となった。日本は世界平均水準の65.3%となった。家計負債比率の分野で韓国が世界一位を占めたのだ(ベイルート港爆発でGDPの30%が減少して家計負債比率が116.4%と高まったレバノンのケースは除外)。

韓国の家計負債の状態は、今年(2021年)に入って、より一層悪くなる可能性が高い。不動産関連や、株式、仮想通貨コインなどに投資するための融資が大幅に増えた所為だ。膨れ上がった家計負債は、金利引き上げ、不動産価格の下落、景気沈滞の到来などの複数の悪材料ばかりが一度に相まっても、最悪の場合、バブルが弾けるかの如く、爆発し始め得る。

だから深刻な今日の韓国の家計負債状態を指して「時限爆弾」としばしば比喩する。IMDの国家競争力や国際信用等級で日本を上回ったと、ひたすら喜ぶものではない。現在は「錯視効果」のようなものに酔って、油断する時ではなく、むしろ時限爆弾として定着した我々の「家計負債」問題を如何するのか一層苦悩すべき時だ。

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

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