韓国の裁判所、「金日成主席の回顧録」の販売・配布禁止仮処分を棄却(画像提供:wowkorea)
韓国の裁判所、「金日成主席の回顧録」の販売・配布禁止仮処分を棄却(画像提供:wowkorea)
韓国の裁判所が北朝鮮の故キム・イルソン(金日成)主席を美化したという論争を受ける、いわゆる「金日成主席の回顧録」の販売禁止を求める仮処分申請を棄却した。

 14日、ソウル西部地裁は、法治と自由民主主義連帯(NPK)などの市民団体が先月23日に裁判所に提出した故金日成主席の回顧録「世紀とともに」8冊に対する販売・配布禁止仮処分申請を棄却した。

 裁判部は「この事件の書籍の内容が債権者を直接的対象としていない」とし、「書籍が利敵表現物に該当するという事情だけで、この事件行為が禁止されるべきだと見るのは難しい」と説明した。

 これを前に、NPKなどの団体と個人は、金日成一家を美化した本の販売・配布行為が憲法上の人間の尊厳と人格権を侵害するという趣旨で主張した。

 先月開かれた仮処分申請審問期日で訴訟を代理するト・テウ弁護士は「該当本は最高水準の利敵表現物」とし「許容されれば、他の北朝鮮刊行物も制限なく流通されるだろう」と指摘した。

 しかし、裁判部はこれを受け入れなかった。裁判部は「債権者らは主に自分よりは韓国国民一般人の人格権が侵害されるおそれがあることを理由に、この事件の行為の禁止を求めているものとみられる」とし、「人格権は専属的権利で債権者が任意に韓国国民に代わってこのような申請をすることはできない」と述べた。

 続けて「債権者らの主張及び提出資料だけでは、この事件の申請を求める被保全権利やその保全の必要性が証明されたと見ることはできない」とし、「債権者らの事件申請は、理由がないため棄却する」と明らかにした。

 議論になっている「世紀とともに」は、金日成主席の出生過程から抗日武装闘争までの一代記や主体思想などについて宣伝する内容を含む書籍で、北朝鮮では対外宣伝用として出版された本だ。

 先月1日、韓国の出版社「民族サランバン」が「世紀とともに」を出版し、韓国で論争となった。刊行物倫理委員会が当該図書の有害性の有無を審議しないことに結論を下し、今回の仮処分の結果によって、販売可能かどうかが決定された。


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