◇非核化で協力・早期の対面会談で一致 慎重論も
バイデン氏の勝利が確実になってから4日後に電話会談が行われたことは韓国政府としては「好材料」といえる。
朝鮮半島の平和プロセスを軌道に乗せるため、韓米の連携が切実に求められており、文大統領とバイデン氏が北朝鮮核問題の解決に向けて緊密に協力することで一致した点は評価できる。バイデン氏の来年1月の大統領就任後、可能な限り早い時期の対面での会談開催を確認したことも期待を高める。韓米首脳会談の早期開催が中断している南北、米朝対話の再開を後押しする可能性がある。
ただ、両氏が連携強化に向けた第一歩を踏み出したこと以上の意味を与えてはならないとの指摘もある。文大統領は電話会談で非核化に向けた原則的な考え方を示すことに注力するなど慎重な姿勢を見せた。9月の国連総会で提案した朝鮮戦争の終戦宣言は電話会談後の発表内容に盛り込まれなかった。
バイデン氏は実務交渉を重ねていくボトムアップ方式を重視するため、首脳間の意思疎通で突破口を模索することは容易ではないとの見方もある。
両氏の対面会談も米国の新型コロナウイルスの感染拡大状況が深刻化しているため、現段階では時期を予測することは難しい。
◇韓米同盟は「インド太平洋の中心軸」 米中対立下で注目
電話会談で関心を集めた内容はバイデン氏が韓米同盟について「インド太平洋地域の安全保障と繁栄の中心軸」と表明したことだ。韓米同盟の重要性を強調した発言とみられる。ただ、バイデン氏がトランプ大統領のインド太平洋戦略を補完して継承する可能性があるため、米国の同盟国として対中けん制戦略に賛同するよう求める意味としても受け止められる。
バイデン政権が「民主主義同盟」を強調するインド太平洋戦略を維持する場合、文政権としては困難な立場に置かれる可能性がある。韓国が米中の間で「綱渡り外交」を続けるとの見方が出ている。
一方、韓国青瓦台(大統領府)によると、両氏の電話会談で韓日関係や世界貿易機関(WTO)事務局長選に関する言及はなかった。同事務局長選では韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が最終候補の2人に残り、米国が兪氏を支持する意向を表明したが、まだ決着がついていない。
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