一時、有名な声楽家だったが、いまは芸術高校の音楽教師を務めるサンジン（ハン・ソッキュ）。冷めた教育熱、ツヤのなさだけが目立つ彼に、青天の霹靂ともいえるミッションが舞い降りる。天性の歌唱力を持つが、闇の世界に潜り込んだヤクザ、ジャンホ（イ・ジェフン）をコンクールで入賞させること。転入初日、黒の乗用車で現われ、授業中にも“ボス”からの電話にバンバン出るわの学生ジャンホのことが気にくわないサンジン。ジャンホの歌を聴く必要もないという結論を出す。拳と歌の2つの才能に恵まれたものの、家庭環境のせいで拳の世界にのめり込んだジャンホ。常識も知らない不良だが、声楽家になりたいという夢だけは忘れたことがない。そんな自分に教えようとしないサンジンの態度に怒るジャンホ。それでも夢を諦められないジャンホは険しいサンジンとの関係を続けるのだが…。

韓国映画「パパロッティ」は、組織に身を置きながら歌に天才的才能を持ったヤクザが、ボスよりも強烈な音楽教師に出会い繰り広げられるストーリーを描く。韓国映画においてこれまで、ヤクザなどのキャラクターはコメディにアクション、ノワールなど多様なジャンルで描き起こされている馴染んだ素材だが、「パパロッティ」は“拳の世界”とクラシックという予想に反したテーマの融合とキャラクターを通し、今までにない差別化された面白さを提供する。韓国映画の興行史を共に歩んできたトップ俳優ハン・ソッキュと20代を代表する演技派俳優に成長したイ・ジェフンが、それぞれ音楽教師と歌唱力に才能を持ったヤクザを好演、見たことのない名品アンサンブルを披露する。