金融通貨委員会であいさつする李柱烈総裁=12日、ソウル(聯合ニュース)
金融通貨委員会であいさつする李柱烈総裁=12日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国銀行(中央銀行)は12日、定例の金融通貨委員会を開き、政策金利を年1.50%で据え置いた。昨年11月に6年5カ月ぶりの利上げに踏み切った後、3回連続の据え置き。韓国経済と世界経済の先行き不透明感が強まっているため。 この日の金融通貨委員会は、李柱烈(イ・ジュヨル)総裁2期目の最初の会合であると同時に、米連邦準備理事会(FRB)の先月の利上げにより韓米の金利が逆転してから初めての開催だった。市場の大方は据え置きを予想していた。 韓国銀行は今年3%を見込む経済成長と物価の流れから追加利上げを判断する姿勢だが、利上げに弾みがつく状況ではない。1~3月期の消費者物価上昇率は前年同期比1.3%と、2016年7~9月期以来の低水準で、韓国銀行の上半期見通し(1.5%)も下回った。国内の景気回復の勢いが鈍いことが分かる。雇用をみても、3月の失業率は4.5%で、3月としては17年ぶりの悪さだった。就業者の増加幅も小さい。 この先も景気の下振れにつながる要因のほうが多いと分析される。まずは米中の貿易戦争が懸念される。これが現実化すれば、輸出に大きく頼る韓国経済は米中の間で打撃を受けかねない。 貿易で保護主義的な政策を取る米国は、為替政策でも韓国に圧力をかけるムードだ。米国が近く発表する為替報告書で、韓国当局をけん制してウォン高を誘導するとの見方から、外国為替市場はウォン高・ドル安に動いている。利上げすればウォン高に拍車がかかる。 米国の利上げ加速観測も韓国には重しだ。約10年ぶりに米国の金利が韓国を上回っているが、米国が利上げのペースを上げれば金利差はさらに広がる。韓国の株式市場に現時点で特に影響は見られないものの、外国人投資家の資金引き揚げにつながりかねない。 また、家計債務(個人負債)は依然として増加速度が落ちておらず、韓国経済が抱える大きな問題となっている。 一方、今後期待される要因としては、中国人の団体観光客の増加が挙げられる。米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備に反対する中国が韓国旅行への規制を解くことで観光客が戻ってくれば、外食や宿泊業が息を吹き返す。 若者の失業対策と地域経済の支援を盛り込んだ3兆9000億ウォン(約3900億円)規模の補正予算案が国会を通過し執行されれば、やはりプラス要因となる。南北首脳会談とこれに続く米朝首脳会談も好材料ながら、予断は許さない状況だ。
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