正恩氏と与正氏(資料写真)=(朝鮮中央テレビ=聯合ニュース)
正恩氏と与正氏(資料写真)=(朝鮮中央テレビ=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】9日開幕の平昌冬季五輪に合わせて北朝鮮が派遣する高官級代表団に含まれていることが明らかになった金与正(キム・ヨジョン)氏は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長のただ一人の妹だ。 北朝鮮のロイヤルファミリーであり、故金日成(キム・イルソン)主席の直系を意味する「白頭血統」の一員が韓国を訪れるのは今回が初めてだ。 与正氏は故金正日(キム・ジョンイル)総書記と、3番目の夫人で在日朝鮮人の高英姫(コ・ヨンヒ)氏(2004年死去)との間に生まれ、金正哲(キム・ジョンチョル)氏、正恩氏の2人の実兄がいる。後継者から外れ、権力から遠ざかった正哲氏とは異なり、与正氏は金正恩体制で中心的役割を果たしてきた。 与正氏の年齢については1987年生まれ、88年生まれ、89年生まれなどさまざまな説があり、今年29~31歳になると推定される。20代で政治の表舞台に登場して異例の速さで権力の中枢に食い込み、正日氏の妹で与正氏の叔母に当たる金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書記が過去に果たした役割を早くも越えたという評価を受けた。 与正氏は金正恩政権の発足後初めて開かれた14年の第13期最高人民会議(国会に相当)の代議員選挙で正恩氏とともに投票所に現れ、公式活動を開始した。 これに先立ち、与正氏は金正恩体制が発足した12年に国防委員会の行事課長として公職に就いたとされる。 その後、与正氏は14年11月から16年5月ごろまで「労働党中央委員会副部長」として正恩氏が出席する各種行事や視察に同行する姿が北朝鮮メディアで報じられ、出席した行事や同行した随行員の顔ぶれから、北朝鮮の体制宣伝を担当する宣伝扇動部に所属するものとみられてきた。 与正氏は16年5月に開かれた党中央委員会第7期の第1次全員会議で党中央委員に選ばれた後、昨年10月に17カ月ぶりに開かれた第2次全員会議では北朝鮮の権力の中核である政治局候補委員にも選任され、宣伝扇動部の副部長から第1副部長に昇進したと伝えられた。 北朝鮮が通知した高官級代表団の名簿に、与正氏の地位を「党中央委員会第1副部長」と明示したのもこのような事実を裏付けるものだ。 北朝鮮は、与正氏が正恩氏とともに行事で壇上に座ったり、正恩氏と並んで歩きながら会話したりする姿を公開し、与正氏の政治的地位を内外に示してきた。 平昌冬季五輪に合わせて韓国で公演する北朝鮮芸術団が5日に平壌駅を出発した時には、パク・グァンホ党副委員長兼宣伝扇動部長の隣に立って芸術団を見送った。 与正氏の訪韓が注目される理由は、正恩氏の直系の家族であり、最側近として正恩氏とやりとりできる「メッセンジャー」とされるためだ。 与正氏は90年代後半に正恩氏と一緒にスイスで小学校に通い、特に親しい間柄だとされる。留学を終えて平壌に戻ってからも、外国人教師からフランス語や英語を学んだと伝えられた。 このような点から、与正氏が事実上の「代理人」として正恩氏のメッセージを韓国に伝え、平昌冬季五輪で持ち上がる国際社会のさまざまな懸念や期待を北朝鮮の最高指導部に伝える役割を果たせるのではないかとの期待も出ている。
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