【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が韓国軍の防衛システムの弱点を狙い「主体武器」と称する独自兵器の開発を加速させているとの分析が韓国の研究者によって提起された。特に北朝鮮は新しい戦術核兵器として対艦弾道ミサイル(ASBM)を開発中で、中距離弾道ミサイルの「スカッドER」や「ノドン」「北極星」も敵に対する接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略に使用できるASBMの候補になる可能性があるとされる。 政府系シンクタンク、韓国国防研究院(KIDA)のイ・チュング、ソン・ヒョジョン両専任研究員が15日に公開した分析資料で指摘した。 両研究員は資料で「北の主体武器は韓国の防衛システムの弱点を探し、進化を続けている」とし、「わが軍は北の主体武器開発に相当なストレスを受けざるをえない」と指摘した。 北朝鮮で主体武器という用語が使われたのは昨年2月27日に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が新型の対戦車誘導弾の試射現場を視察した際に、「わが国の現実に合った主体武器」と述べたのが初めてという。 金正恩政権が発足してから開発された代表的な主体武器は300ミリ多連装砲「KN09」、新型対戦車誘導弾、北極星1・2、固体燃料ロケット、スカッドERなどがある。 両研究委員は北朝鮮が主体武器開発を強調するのは、在韓米軍に配備される米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」に軍拡競争で対抗するためのほか、韓国軍に較べて劣っている軍事力を逆転するためと見ている。 また韓国は北朝鮮にミサイル発射の兆しがあれば先にこれを破壊する兵器「キルチェーン」、発射されたミサイルを迎撃する「韓国型ミサイル防衛(KAMD)」、北朝鮮が攻撃してきた場合に指導部などに報復攻撃を行う「大量反撃報復(KMPR)」の3軸体系の構築を進めているが、北朝鮮は主体武器の開発により、それを上回ろうとしているという。 その代表的な例が昨年6月に行われた新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」の試射で、これはKAMDの迎撃範囲を超える高角度で発射する実験をしたものという。 キルチェーンに対しては、探知・攻撃を困難にさせる固体燃料ロケットと移動式発射台の開発で対応しているとする。 またKMPRに対しては兵器の誘導性能の向上により、全面戦争への拡大を防ぐことができる戦術的核兵器の使用を目指していると説明した。 さらに北朝鮮は主体武器の精密・軽量・無人・知能化を推進中で、最近開発された主体武器はこれらを満たすことで独自の発展を遂げていると指摘した。 KIDAのイ・サンミン研究委員は「主体武器から見る北の核開発見通し」という分析資料で「北が描く第2の朝鮮戦争のシナリオは大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のような戦略核兵器により(韓国を米本土と同じように防衛する)米国の拡大抑止を無力化する『同盟分離戦略』と、スカッドERのような戦術核兵器により空母を前面に出した連合軍の接近を海洋で遮断する北朝鮮版のA2AD戦略の融合が前提になるだろう」と主張した。 また「北のA2AD戦略を実現するための核心となる手段はASBM 」とし、「スカッドER、ノドン、北極星1・2はすべてASBMとして使われるように改良されるか、新たに開発中であると推定され、今後は無人機と連動させる研究が進められることが予想される」と指摘した。
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