(画像提供:wowkorea)
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韓国では国内で生まれてくる赤子より、死亡者が多くなって生じる人口の「自然減少」が年間基準で初めて確認された。

韓国統計庁の発表によれば、昨年の韓国の出生数は27万2400名であったのに比べ、死亡者数が30万5100名とより多く、韓国人口が3万2700名自然減少したと暫定集計された。昨年が人口自然減少の「元年」になったということは、数年前から予測されたが、実際に眼前の現実となった韓国では”衝撃的”との見方だ。

しかし、これは韓国の2.5倍ほどの人口を持つ日本でも2005年から起きている現象である。2019年の厚生労働省の統計によると、日本の出生数は86万4 000名であったのに比べ、死亡者数は137万6000名で、日本人口が51万2000名自然減少した。

日本も韓国も、人口の自然減少がこの先も続いていく見通しだ。日本よりは移民の受け入れに積極的な韓国は移民の純流入数を加えた「総人口」が7~8年後に減少傾向に転じると予想される。韓国の人口が5千万名を若干上回る水準でピークを迎え、下り坂に入ることになるということだ。

人口減少は社会全体の経済的生産力を落とし、国力を弱体化させて生活の質を毀損する要因として指摘されてきた。韓国の場合、過去10年以上にわたって歴代政権は低出産・高齢化への対応に200兆ウォン(約20兆円)を超える政府予算を注ぎ込み、各種政策を多方面で施行してきた。

しかし今回の人口統計はそれらが何の役にも立たなかったということを見せてくれた。韓国人口の自然減少への転換は、人口政策に対する根本的な再検討が必要であることを雄弁に物語っている。

韓国は何より人口は無条件に増加しなければならないという考えが非現実的な固定観念でありうることを認めなければならない。経済に与える悪影響を考慮し、人口減少の速度を可及的に遅らせる必要はあるが、人口減少そのものは不可避なものと受け入れなければならない時となった。

むしろ生活の質と言う側面から、長期的に適正な人口規模がどのくらいの水準なのかについての議論が至急求められる。そしてその水準に到達する時までの過渡期に甘受しなければならない高齢層の扶養負担に対するより確実な解決法を見出さねばならない。

その過渡期に、韓国政府が最も重要な政策課題としているのは社会の実質的な”多文化”化である。外国人の国内流入、特に中国や東南アジアからの移民の定着を若年層を中心に積極的に促進している。多文化化は社会の活力と経済の生産性を引き上げるというのが関連学会の通説だ。そのようになるためには、移民流入に対する門戸を一層広げ、社会の外国人包容力を高める対策が求められる。

しかし、既存の韓国文化との衝突や犯罪率の増加はそのような政策の妨げとなっている。だとして、若年女性に出産を国家的、社会的に圧迫するやり方の人口政策は、もうこれ以上は現実的でない。望ましくもない。何の役に立たなかった韓国の人口減少対策、根本的な「発想の転換」が必要だ。そのためには、自然減少を15年も早く経験している日本を深く参考にしないといけない。
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