日本企業に賠償を命じる判決が出た場合、韓日間の外交摩擦は避けられない見通しだ。日本政府は自国企業に賠償を命じる判決が出れば、国家間の紛争を扱う国際司法裁判所(ICJ)への提訴などの強硬対応に出るとみられる。
韓国での訴訟の発端は、強制徴用被害者が起こした損害賠償請求の訴えを日本の裁判所が退けたことだった。
大阪地裁は、1941~43年に新日鉄の前身に当たる日本製鉄で労働を強いられた被害者4人が起こした損害賠償請求訴訟で「旧日本製鉄の債務を新日鉄が受け継いだとは見なせない」として原告敗訴の判決を言い渡した。この判決は2003年10月に最高裁でそのまま確定した。
原告4人は05年に韓国で再び訴訟を起こしたが、一審と二審は「日本の会社経理応急措置法などを適用した日本の裁判所の判決は、韓国の善良な風俗や社会秩序に照らして許容され得る。日本の確定判決は韓国でも認められる」として原告敗訴の判決を下した。
これに対し、大法院は全く異なる判断を示した。原告を日本人と見なし、裁判の準拠法として日本の法を適用したこと、日本による朝鮮半島の植民地支配は合法だとする規範的な認識の下で戦時の日本の総動員令と国民徴用令を有効だと評価したことが、判断の対象となった。
大法院は12年5月、「日本の判決は日本植民地時代の強制動員そのものを違法と見なしている韓国の憲法の中核的な価値と真っ向から対立する。韓国の善良な風俗と社会秩序に反した判決であることは明らかだ」として二審判決を破棄し、ソウル高裁に審理を差し戻した。
これを受けて同高裁は13年7月、「日本の核心軍需業者だった旧日本製鉄は日本政府とともに侵略戦争のため人を動員するなど、反人道的な違法行為を犯した」として、原告に1億ウォン(現在のレートで約986万円)ずつ支払うよう命じた。日本企業に対し、強制徴用被害の賠償を命じた初めての判決だった。
新日鉄側は判決を不服として再上告。大法院は5年以上、判決を下さず、原告のうち3人は判決を前に死去した。
そんな中、朴槿恵(パク・クネ)前政権時の司法当局が青瓦台(大統領府)と共謀し、裁判を遅らせ、訴訟に介入したことが検察の捜査で明らかになった。捜査で見つかった司法側の文書には外交部を通じて海外に派遣する裁判官の数を増やすため、外交部の立場を反映し、外交摩擦が起こる可能性がある強制徴用裁判の判決を遅らせることを検討する内容が盛り込まれていた。
このような状況の中、今年7月27日、大法院長と大法官12人全員による合議体での審理が始まった。原告が05年に訴訟を起こしてから13年で大法院が結論を出すことになり、日本からも注目が集まっている。
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