李在鎔氏(コラージュ)=(聯合ニュース)
李在鎔氏(コラージュ)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国のサムスン電子は26日に1~3月期の連結決算(確報値)を発表し、本業のもうけを示す営業利益は半導体事業の好調を追い風に過去最高を更新した。だが、好業績を手放しで喜ぶ雰囲気はない。半導体市況の好調が予想より長引き、スマートフォン(スマホ)事業も期待以上の業績を収めるなど経営状況は順調であるものの、内外のさまざまな悪材料が解消されないためだ。朴槿恵(パク・クネ)前政権で起こった国政介入事件で贈賄罪などに問われ、2月初めに控訴審で執行猶予付き判決を受けて釈放されたグループ経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長がなかなか経営の表舞台に復帰しないのも、そうした理由からとみられる。

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 サムスン系列会社の役員は、「業績だけを見れば『サムスン80年史』で最高の時期ではないだろうか。だが業績を別にすると、『最悪の試練の時』に直面していると言っても過言ではない」と話した。

 韓国国内では検察や公正取引委員会、金融委員会などからの捜査や圧力、政府の財閥改革政策、過去の政経癒着の慣行に対する批判的な世論などがサムスンの重しとなっている。

 サムスンが「労働組合瓦解工作」をしたとする疑惑に絡み、検察が今月初めに家宅捜索を行うなど本格的な捜査に乗り出すと、サムスン電子の子会社で同社製品のアフターサービスなどを行うサムスン電子サービスは協力会社の従業員約8000人を直接雇用するという破格の方針を打ち出した。だが検察は捜査の手を緩めていない。むしろ全国民主労働組合総連盟(民主労総)の金属労組などの団体がこの疑惑を巡るサムスングループ全体に対する再捜査を求め告訴・告発に踏み切り、一段と厳しい捜査が予想される。

 また、金融委員会は金融会社が保有する大企業系列会社の株式を売却する策を講じるべきだとし、事実上、サムスン生命にサムスン電子株を売却するよう「警告」した。

 一部メディアが提起したサムスン系列のテーマパーク・エバーランドの標準地公示地価急騰疑惑を巡り政府は検察に捜査を依頼し、さらには株式市場を混乱させたサムスン証券の配当誤支給も重なり、悪材料はグループ全般に広がる様相だ。

 サムスンを取り巻くグローバル環境も良いとはいえない。主力の半導体事業が順風満帆とはいえ、早ければ今年後半にも半導体の好況に陰りが見え始めるとの観測があり、スマホ事業は中国勢の攻勢に押され気味だ。米中貿易摩擦に為替問題までがのしかかり、「輸出大国」韓国のけん引役を果たしてきたサムスン電子の不安は増している。

 財界関係者は「李在鎔副会長が釈放から80日を過ぎても経営の表舞台に正式に復帰できずにいるなど、サムスン内部の雰囲気は依然重い」と伝えた。ただ最近では、現状を過去の誤った慣行を正して体質を改善する契機にしようという自省論も内部で出ているという。


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