映画「タクシー運転手」のチャン・フン監督(C)2017 SHOWBOX. ALL RIGHTS RESERVED.
映画「タクシー運転手」のチャン・フン監督(C)2017 SHOWBOX. ALL RIGHTS RESERVED.
韓国で観客動員数1200万人を突破し、2017年のNo.1大ヒットを記録した「タクシー運転手~約束は海を越えて~」(配給:クロックワークス)が、ついに日本上陸!本作は、1980年5月、韓国現代史上、最大の悲劇となった光州事件を題材にし、真実を追い求めた1人のドイツ人記者と彼を乗せたタクシー運転手の物語。実在した2人が肌で感じたありのままを描くことで、1980年5月の光州を紐解いている。

ソン・ガンホ の最新ニュースまとめ

 平凡なタクシー運転手マンソプ役に韓国映画界の名優ソン・ガンホ、ドイツ人記者ピーター役にドイツのベテラン俳優トーマス・クレッチマン。マンソプとピーターを助ける光州のタクシー運転手ファン・テスル役に、唯一無二の存在感を放つユ・ヘジン、そして光州でピーターとマンソプの通訳を担当する大学生ジェシク役に若手実力派リュ・ジュンヨルと豪華キャストが集結!ここに「義兄弟~SECRET REUNION」「高地戦」のチャン・フン監督の演出が加わり、最後まで自分の信念を貫き通した“あの日”をドラマチックな感動で包み込む。

 4月21日(土)よりシネマート新宿ほか全国ロードショーに先駆け、チャン・フン監督がインタビューに応じ、作品を彩る豪華キャストや撮影エピソードなどについて語ってくれた。


<B>―「タクシー運転手」は韓国で2017年、観客動員数1000万人を突破する作品になりましたが、このような大ヒットを予想されていましたか?</b>
もちろん、上手くいってほしいとは思っていましたが、1000万人を突破するとは予想もしていませんでした。だから、このような結果にすごく感謝しています。

<B>―どのような部分が多くの人に受け入れられ、共感を得たと思われますか?</b>
光州事件は悲劇的な、目を背けたくなる事件なんですが、皆さんが関心を持たざるを得なかったんだと思います。そして、そういう重い内容を観客がラクに見られるように、俳優たちが上手く演じてくださったので、多くの方に見てもらえたのかなと思います。

<B>―実在の人物をモチーフに、韓国現代史を描くうえで、大事にしようと思った部分、こだわったところなどはどういう部分でしょうか?</b>
物語に登場するのが実在の人物であることや、その事件を経験している方たちもいるので、彼らに迷惑をかけないように作品を作る、ということにすごく気を遣いました。それから、観客にどこまでこの事件が伝えられるのか、という部分について、かなり悩みました。

<B>―ソン・ガンホさんとは「義兄弟」に次いで、2度目のタッグになると思いますが、タクシー運転手のキム・マンソプ役にソン・ガンホさんをキャスティングした理由を教えてください。</b>
この作品は、マンソプの視点で描いていて、マンソプは物語のガイド役になるため、観客が自分事のように感じられる演技が必要になるんですが、そういう演技ができる俳優は、そう多くないので、ソン・ガンホさんしか思い浮かびませんでした。だから、ソン・ガンホさんに演じてもらいたいと思ったし、ソン・ガンホさんが演じてくださったからこそ、多くの方が見てくださったのだと思います。

<B>―ソン・ガンホさんは出演オファーを1度断ったそうですが、監督が説得されたんですか?</b>
ソン・ガンホさんは俳優として作品を見る目がある方なので、最終的にはご本人が決めました。誰かが説得して出演するという方ではないし、僕が説得してもダメだと思いました(笑)。それより、1度は出演を断ったものの、ずっと作品が頭から離れなくて、引き受けることにしたと言っていたので、作品がソン・ガンホさんを説得したんだと思います。

<B>―ドイツの名優トーマス・クレッチマンさんとのお仕事はいかがでしたか?</b>
すごく楽しかったです。トーマス・クレッチマンは僕よりだいぶ年上だし、現場で一番年上だったんです。でも、友達みたいにラクだったし、すごく頼れる方でした。この映画を通して、いい友達になりました。いい友達を得たような感じがして、現場はすごく楽しかったです。

<B>―キャラクターを魅力的に演じたユ・ヘジンさん、リュ・ジュンヨルさんの印象についても教えてください。</b>
ユ・ヘジンさんは前からファンで、ずっと映画を一緒にやってみたかった1人です。俳優としての魅力も多いですが、ユ・ヘジンさんが持つ独特な人間味がすごく魅力的だと思います。ファン・テスルという役は情に厚く、温もりのあるキャラクターなので、人間味を引き出したかったというのもあって、小さい役なんですがお願いしました。小さい役ながらも、趣旨に賛同して出演してくださったので、感謝しています。次は、また大きな役でご一緒できたらいいなと思います。
リュ・ジュンヨルさんは初めて会ったんですが、イメージでキャスティングをしました。自然な感じのイメージが、大学歌謡祭出場を夢見る平凡な大学生ク・ジェシク役にぴったりだったし、もちろんイケメンだし。彼はスポンジのようにとても吸収が早く、いろいろなことを素早く、瞬時に理解できる能力があるので、資質があって、将来が楽しみな俳優だと感じました。

<B>―暴力的なシーン、アクションシーンなど重いシーンもある中、リュ・ジュンヨルさんが、マンソプやファン・テスルたちの前で、音痴だけど楽しそうに歌うシーンがほのぼのしていて印象的でした。</b>
リュ・ジュンヨルさん演じるク・ジェシクは、バンドのドラム担当なのに、マンソプらに歌うよう促されて、歌ってみたら音痴だったというシーンですね。そういうキャラクター設定だったので、面白おかしいシーンになりましたが、実際リュ・ジュンヨルさんは音痴ではないですよ(笑)。とても歌が上手いですから。

<B>―劇中に登場する光州市民は、ガソリンをおまけするエピソードなどもあり、良い人で勇敢な人が多いですが、どんな市民性があるんでしょうか?</b>
今回、映画制作にあたり、いろんな資料を目にしたんですが、自分が思っていたよりも、当時の光州事件は凄惨で残酷なものでした。市民の姿は一部、映画の中で描かれているんですが、それ以外に感動的だったのが、市民運動があった10日間の間、1件も盗難事件が起こらなかったことです。光州市民をとてもよく表しているエピソードではないかと思いました。

<B>―撮影で大変だったエピソードなどがあれば教えてください。</b>
僕が大変だったというより、俳優たちが大変だったと思います。エアコンもない狭い車内での撮影がかなり多かったので。撮影に使ったのは、見た目は当時の車ですが、エンジンや中の部分は、最近のものに変えた改造車だったんです。それで、1台はエアコンのついた車があったんですが、全部につけることができなくて…。俳優にとっては、エアコンのある環境の方が演技しやすいので、そういう部分で、俳優たちに申し訳なかったなと(笑)。

<B>―昨年年末、チャン・フン監督は「第6回韓国トップスター賞授賞式」でトップ監督賞を受賞され、「第54回大鐘賞映画祭」では「タクシー運転手」が最優秀作品賞を受賞されるなど、各映画祭で賞を受賞されていますが、監督にとってこの作品はどういうものになりましたか?</b>
この作品は、とにかくたくさんのものをくれた作品です。もちろん、これまでの全ての作品に愛着はあるんですが、僕の作品への愛情とは関係なく、たくさんの方々に愛されたので、とてもありがたい作品です。

<B>―日本の観客にメッセージをお願いします。</b>
この作品は、韓国で光州事件を知らない若者世代のための映画という思いで作りました。現代史における悲劇的な事件を知らない世代に伝えようと。日本の観客の皆さんには、有名なソン・ガンホさん、ユ・ヘジンさん、リュ・ジュンヨルさんなどが出演しているので、エンターテインメント作品として楽しんでいただければと思います。この作品を見てどう感じるかというのは、見た方にお任せするということで、むしろ私が今度日本へ行ったとき、この作品をどう見たかを聞いてみたいです。


 チャン・フン監督が「人々の日常を奪った悲劇的な事件の中で、彼らは自分の良心や常識、そして決断によって生きた。この映画を通じて、平凡な人々のドラマチックな話を観客に伝えたい」と語る「タクシー運転手~約束は海を越えて~」。平凡なタクシー運転手と外国人記者、そして光州市民が危険な状況に負けず、真実や正義のため、必死で戦う姿に胸を熱くさせられる。



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