【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が「特使外交」をスタートさせた。文大統領は16日に青瓦台(大統領府)で、米国、中国、日本、ロシア、欧州連合(EU)・ドイツにそれぞれ派遣する大統領特使と昼食を共にした席で、「首脳外交の空白を埋めることが急務だ」と述べた。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾政局で半年以上も首脳外交がストップしたため、新政権を取り巻く外交・安全保障状況はいつにも増して厳しい。 文大統領は「状況は厳しいが、自信を持ってやってほしい」と特使らを激励し、「新政権が『ピープルパワー』によって発足したことの意味を強調してほしい」と求めた。特使は文大統領の親書を各国の首脳らに渡すとされる。 文大統領は先週、米中日ロなどの首脳と相次いで電話会談し、新政権の外交政策方向を説明した。これに続いて派遣される特使は、北朝鮮核問題を含む双方の外交懸案に対する韓国政府の具体的な立場と考えを相手国に直接伝える役目を負う。特使の派遣は、朝鮮半島問題の解決において韓国が主導的な役割を果たすという文大統領の意志の表れだ。特使らがそろって経験と外交ネットワークを備えた新政権の中心的存在であることも、それを裏付けている。 今、新政権は対外的に非常に厳しい環境に置かれている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権は文政権の発足からわずか4日後、米本土をも脅かしかねない大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の新型弾道ミサイルの発射実験を行った。また、「米国第一主義」を掲げるトランプ政権の登場により、さまざまな分野で韓米同盟が見直される可能性が浮上している。米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備に反対する中国とのあつれきは数カ月に及んでおり、日本とは旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の合意をはじめとする歴史問題の葛藤をできるだけ早く解消せねばならない状況だ。特使たちは非常に重大な任務を負っており、何よりも韓国の安保にとっての差し迫った脅威である北朝鮮核問題の解決に外交力を集中させねばならない。 北朝鮮核問題の解決には国際社会との協力が重要であり、韓米同盟の強化がその出発点だということは言うまでもない。そうした意味で、韓米が6月末の首脳会談開催に合意したことは幸いだ。中身のある会談にするには、訪米特使がしっかりと地ならしをしておく必要がある。また、18日から訪中する特使はTHAAD配備に関する韓国政府の立場を中国側にはっきりと伝え、それを基に葛藤の解消に向けた落としどころを探るべきだ。文政権の特使外交が、朝鮮半島の安保危機を解消するための足場を固める機会となるよう期待したい。
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